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文/鈴木拓也

日本人の平均寿命の伸びがしばしば話題となるが、飼い猫の寿命も伸びている。一昔前は、10年も生きれば長生きとされていたのが、今や平均寿命は約15歳。死因の1位となる腎不全の特効薬開発で、近い将来には倍になるのではないかという予測もある。

一方、寿命が伸びたことにともなって重要になってくるのが高齢の“シニア猫”のケア。人間と比べて、外見的な老化のサインが分かりにくいが、猫だって年をとり、様々な病気にかかりやすくなる。

認知症のような、10年足らずで天寿を全うした時代にはありえなかった病気のリスクもある。そのため、飼い主はシニア(11歳~)になった愛猫のケアについて、基本的な知識を求められるようになっているのだ。

例えば、少々メタボ体型な飼い猫が、なぜか食欲が旺盛になったのに、体重が減少した場合、「基礎代謝が上がって、ダイエットに成功した!?」などと喜ぶのはアブナイ。もしかすると、糖尿病にかかっているのかもしれないのだから……。

そんなシニア猫の飼い主にとって役立ちそうな一冊が、獣医師によって書かれた『ネコの老いじたく』(壱岐田鶴子/SBクリエイティブ)だ。

自宅でできる基礎データ(心拍数や体温など)の取り方から、病状の判断、食餌や環境整備など、新書サイズながらおおよそのことが分かる1冊である。

飼い猫の心拍数・脈拍数の測り方もイラスト図解で分かりやすい(本書29p)

一読して印象に残るのは、シニア猫は人間と同じような病気にかかりやすくなるという点。飼い主がそれに気づいて動物病院に連れていき、早期の治療を受けさせれば、それだけ予後はよくなる。なので、病気の兆候に気づくか気づかないかは一大事だ。

例えば、腫瘍。猫がかかる腫瘍の半分以上は、扁平上皮がんなど「体の表面、つまり目に見える場所に発生する」とのことで、飼い主でも病状を発見できることがある。例を挙げれば、以下のような症状は、腫瘍の可能性を示唆しているという。

・体にしこりや腫れができ、大きくなる傾向がある
・皮膚になかなか治らない傷や炎症が見られる
・体内への入り口にあたる部分(口腔内、鼻、耳、肛門周辺)から出血したり粘液が出る
・口臭がしたり、口からよだれが出たり、出血する
(以下略、本書82pより引用)

もちろん「しこり」イコール腫瘍とは限らないが、著者は「しこりが小さなうちに念のため獣医師に診察」してもらうよう、本書でアドバイスしている。さらに、動物病院で行われる腫瘍の診断法や治療法、飼い主としての留意事項についても触れられている。

病気の話だけでなく、適量の水を飲んでもらう方法や爪・歯の手入れなど、シニア猫のQOL(生活の質)を改善し、健やかな老後を実現するための秘訣が記されている。猫を飼っている方なら必携の1冊といえそうだ。

【今日のペットの健康に良い1冊】
『ネコの老いじたく』
http://www.sbcr.jp/products/4797369014.html
(壱岐田鶴子著、本体1,000円+税、SBクリエイティブ)

 

文/鈴木拓也
2016年に札幌の翻訳会社役員を退任後、函館へ移住しフリーライター兼翻訳者となる。江戸時代の随筆と現代ミステリ小説をこよなく愛する、健康オタクにして旅好き。

 

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