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子供だけじゃない!脳科学者が説く「大人のいじめ」の傾向と対策

取材・文/坂口鈴香

学校でのいじめに関する、いたましいニュースが絶えない。しかしいじめはなにも子供だけのことではない。良識や分別のある(とされる)大人の社会でも、いじめはいたるところに見られる。

たとえば筆者は、とあるデイサービスで、90代の女性利用者が認知症の女性をバカにするのを目撃したことがある。聡明で、デイサービスでも一目置かれている女性だったが、その口ぶりからは、認知症の同輩への同情や、いつ自分が同じようになるかもしれないといった気持ちはまったく感じられなかった。同じような言葉は、違う施設でも聞いたことがある。

人はなぜ同じ痛みを持つ者どうしでも、いたわり合えないのか。より弱い者に牙をむくのか――。そんな疑問を持って手に取ったのが、脳科学者・中野信子氏がいじめを脳科学の視点から説いた著書『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館新書)だ。

本書の大前提は「いじめは、種を残すために脳に組み込まれた機能」。だから、タイトルどおり「ヒトはいじめをやめられない」。つまり、本書はいじめに関する「傾向と対策」なのだ。

そこで今回は同書をひもときつつ、中野氏が説く「いじめについての傾向と対策」についてご紹介しよう。

■“いじめられやすい人”に共通するものとは

中野氏によれば、そもそも人間は内部から集団を破壊する人(フリーライダーという)が集団を壊すリスクを回避するために、フリーライダーを排除しようとする行動をとるのだという。そしてこの制裁行動が、発動すべきでないときにも発動してしまう。それが「いじめ」なのだそうだ。

《例えば、ルールを破ろうとしているのではなく、ルールを知らなかっただけの人や、体が小さいがためにみんなの役に立たなさそうに見えてしまう人、さらにはちょっとだけ生意気だったり、みんなの常識と違った格好をしていたり、標準的な可愛さよりもちょっと目立つ可愛さがあるなど、みんなのスタンダードと少し違うという人。こういった対象に向けて、制裁感情が発動してしまうことがあります。
(中略)
この現象は学校内や会社といった組織でも起こりうることです。そして、これが「いじめ」が発生してしまう根源にあるメカニズムなのです。》(本書p.26より引用)

また中野氏によれば、いじめられやすい人の身体的特徴はというと……

《・体が小さい人
・体が弱い人
・太っている人
・行動や反応が遅い人》(本書p.70より引用)

なんということだ。太っている人以外はほぼ、高齢者に当てはまるではないか。

冒頭に挙げた筆者の体験を例にとると、認知症の人はルールがわからなくなっているし、役に立たなさそうに見える。スタンダードとは違うので、排除しようとする。その集団を構成するメンバー自身、いついじめのターゲットになってもおかしくないのに、さらにより弱い人を見つけて排除しようとするということだ。

身も蓋もないが、人間は歳を重ねてもまったく成長していないのだ。

■大人のいじめを回避するコツ

ではどうすればいじめを回避できるのだろうか。中野氏は、非常に実用的で具体的な対策を教えてくれている。

《人間関係を薄めて、風通しをよくすることが有効です。つまり、人間関係を固定化せず流動性を高めて、同じ人との距離が近くなりすぎるのを避けます。》(本書p.148より引用)

また、教育現場での回避策として挙げられているのが、第三者の目で死角をなくすことだ。これは、高齢者の集まる場所も同様の対策で回避できるだろう。地域住民やボランティアを積極的に受け入れれば、風通しもよくなるし、死角も減ると思われる。家族が定期的に訪れるのもいいだろう。

中野氏は、「いじめは常にある。人の集まるところでは必ず起こりうる」と断言する。サライ世代といえども、集団に属する限りいじめとは無縁でいられない。だとしたら、専門家の知恵を借りて有効な対策を取るのがもっとも現実的だろう。

*  *  *

以上、今回は中野信子氏の著書『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館新書)をもとに、大人のいじめについての傾向と対策をご紹介した。

本書では、女性が女性の妬みを煽らない方法や、モンスターペアレントへの対処法、パワハラ上司の標的にならない方法など、大人社会でもすぐに使えそうな事例がたくさん取り上げられているので、対策本としても有用だ。

【参考図書】
『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館新書)
(中野信子著、本体780円+税、小学館)
https://www.shogakukan.co.jp/books/09825308

取材・文/坂口鈴香
終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終活ライター”。訪問した施設は100か所以上。20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。

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