睡眠不足は学習にはマイナスしかない
資格試験や昇格試験の日が迫ってくると、「睡眠時間を削って猛勉強すれば、なんとかなる」という考えに走りやすい。
安川さんは、これは推奨していない。むしろ、日頃の睡眠時間が7時間を切るとか、眠気を抑えて頑張っているのであれば、もっと睡眠をとるようアドバイスする。
1つには、慢性的な睡眠不足は、「肥満、糖尿病、高血圧」といった様々な疾患のリスクがあるというのがその理由。
もう1つは、適切な長さの睡眠が、学習効果を高めるのにも大事だからという。
具体的には、私たちの脳が情報を最初に覚えたあと、記憶を安定させてより長期間保持するために固定(Consolidation)というプロセスを行ないますが、この記憶の固定化は睡眠中に促進されることがわかっています。(本書214pより)
また、夜寝る前に勉強した内容は、後になっても忘れにくいという研究結果を取り上げ、「睡眠も学習の一部と捉えるべき」と示唆している。ただ、くれぐれも必要な睡眠時間は確保しておくように。
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何に最も後悔するかを調べた米国の調査で、一番多かったのは「教育・勉強」だったという。「人生100年時代」の日本でも、生涯にわたって学び続けることが、ますます重要視されている。「もう年だから」と諦めず、本書の勉強法を取り入れ、興味のある事はどしどし学んでみてはいかがだろうか。
【今日の暮らしに役立つ1冊】
『科学的根拠に基づく最高の勉強法』
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライターとなる。趣味は神社仏閣・秘境めぐりで、撮った写真をInstagram(https://www.instagram.com/happysuzuki/)に掲載している。