NISA口座(少額投資非課税制度)で投資信託による投資を始めた後に、保有しているファンド銘柄とは別の銘柄が気になるケースもあるかと思います。今年から始まった新しいNISA制度では、投資している商品銘柄を手軽に変更することが可能になりました。今回は、投資している商品銘柄を変更する場合にはどのような方法があるのか? また、変更する際の注意点やタイミングについてみていきましょう。

100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。

目次
NISAの銘柄を変更する方法
NISAの銘柄を変更する際の注意点
NISAの銘柄変更を検討するタイミング
まとめ

NISAの銘柄を変更する方法

NISA口座で銘柄を変更する方法は、積立設定している銘柄を変更するケースと、既に保有している銘柄を売却して他の銘柄に変更するケースでそれぞれ異なります。投資信託の銘柄変更について、それぞれのケースを詳しくみていきましょう。

<積立設定している銘柄を変更するケース>

毎月一定額を積立設定している場合、銘柄の変更は設定の変更をすることで簡単に行なうことが出来ます。例えば、積立設定しているAという銘柄の積立設定を解除して、新たなBという銘柄を積立設定することで、銘柄の変更をすることができます。

ネット取引の場合は、パソコンなどの画面上でログインして、自分で設定変更することになります。リアルの証券会社や銀行で取引している場合には、実店舗の窓口で依頼するか、電話でも対応可能な場合もあります。

この場合、変更前までに積立てていたAという銘柄は、それまでに積立てた分を保有したままの状態になり、売却しない限り運用していくことになります。

<既に保有している銘柄を変更するケース>

既に保有している銘柄を変更する場合は、保有している銘柄をいったん売却し、新たな銘柄を購入することで変更することが出来ます。NISA口座では、既に保有している銘柄を売却する際に利益が出た場合は、課税されることなく売却代金を全額受け取ることが出来ますので、その資金で新たな銘柄を購入することが可能となります。

NISAの銘柄を変更する際の注意点

NISA口座で銘柄を変更する際には、主に以下の2つの点に注意する必要があります。

<年間投資枠に注意>

これまで積み立てていた銘柄を売却して、その資金でほかの銘柄を購入する際には、年間投資枠の限度に注意が必要です。保有している銘柄を売却して、その資金でほかの銘柄を購入することを「スイッチング」といいますが、スイッチングを行なうとNISAの年間投資枠を消化してしまいます。

保有している銘柄を売却すると、年間投資枠は次の年まで復活しません。例えば、成長投資枠で複数の銘柄を年間投資枠240万円分購入した場合。そのうちの投資元本100万円分を売却して、新たな銘柄を購入しようとしても、その年の年間投資枠は、すべて使い切っているのでNISA口座は利用出来ず、次の年に与えられる成長投資枠にて購入することになります。年間投資枠には注意しましょう。

<税額軽減効果の減少>

投資枠の限度いっぱいに投資をしている場合、銘柄変更によって税額軽減効果が一部得られなくなるケースも考えられますので、注意が必要です。例えば、成長投資枠での投資元本が年間投資枠の限度240万円で、1,200万円の非課税保有限度額をすべて消化している場合。変更したい銘柄の元本が、200万円で売却時の利益が50万円あるケースでは、すべて売却すると課税されることなく、250万円全額を受け取ることが出来ます。

しかし、次年度で復活する年間投資枠は元本の200万円のみとなりますので、新たな銘柄は200万円分しかNISA口座で購入することが出来ません。

このため、利益分を再投資できないことで、長期投資の複利の効果を得ることが出来なくなってしまうのです。このようなケースの場合には、NISA口座以外に課税口座(特定口座や一般口座)を利用することで、利益分についても運用を続けることが出来ますが、そこから生じた利益に対しては課税されることになります。

NISAの銘柄変更を検討するタイミング

銘柄変更を検討するタイミングとは、どのような時なのでしょうか?

<同じ条件で信託報酬が安いファンドがあったとき>

運用をしている商品が投資信託である場合、信託報酬は保有している間ずっとかかる手数料で、ファンドごとにその割合は決められています。例えば、インデックス型の投資信託の場合、日経平均やTOPIXといったベンチマークとなる指数が同じであれば、日々の値動きもほとんど同じになります。

この場合、できるだけ信託報酬の安いファンドが望ましいと考えられますので、自分が保有しているファンドよりも信託報酬の安いファンドがあれば、銘柄変更を検討すると良いでしょう。

<投資のスタイルを変更したいとき>

長期投資を目的としたポートフォリオ運用でも、年代や必要な資金を準備する期間によって、投資のスタイルも異なってきます。20代や30代など、十分に長く投資期間が確保できる世代は、リスクを取ってでも高いリターンを得るために、株式の割合を増やすという選択も考えられます。しかし、定年を迎える60代など高齢となってくると、債券の割合を多めにするなど、比較的に保守的なポートフォリオとなる傾向があります。

このように、年代や必要な資金を準備する期間によって、投資のスタイルを変えるための銘柄変更も検討するケースがあります。

まとめ

NISA口座に限らず銘柄を変更するケースはありますが、NISA口座の場合は利益に対して非課税であることが大きなメリットですので、再投資による複利の効果を得るためにもなるべく同じ銘柄で持ち続けられるように、銘柄選定は慎重に行う必要があります。銘柄選定が難しいと感じる場合は、中立的な立場からアドバイスしてくれる独立系ファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。

NISAは、資産運用する人にとって必須アイテムと言えますが、投資にはリスクがあります。ルールを理解した上で、非課税のメリットを生かすために上手にNISAを活用していきましょう。

資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行なわれています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか? 

さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。

●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)

株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com

●編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB

 

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