義両親は嫁のお金で贅沢できることを覚えた
義実家の場所は早織さん夫婦の暮らす都内から特急電車を使って2時間ほどの距離のところにあった。義実家へは年末年始とお盆のときにしか接点はなかったが、その少ない接点で義両親は早織さんにさまざまな物をねだるようになったという。
「最初は、ドライヤーの調子が悪いと義母が独り言のようにつぶやいたので、喜んでもらいたい気持ちだけですぐにネットショッピングで注文して、翌日にプレゼントしたんです。それがきっかけになりました。そこから義母は主にキッチン家電や美容家電を、調子が悪いとか、今のものは不便などといった理由をつけて遠回しにねだるようになりました。
義父のほうは、ワイヤレスイヤホンやブルーレイレコーダーなど、真新しいものを見つけると『あれはどうやって使うのかな?』というように。その商品の説明を私にさせて、自分がこの家電に興味があるとアピールしてくるようになりました」
年に2回の帰省のタイミングに加え、義両親の誕生日に、父の日、母の日と少なくとも年に6回も義両親へ貢物をしなくてはならない。さらに、義両親は年々高額なもの、または一度に多くのものをねだるようになっていき、その怒りの矛先は、義両親の行動を咎めない夫に向かったという。
「プレゼントに加えて、毎月5万円の仕送りも全部私です。いくら稼いでいるからといって、義両親のためにではありません。義両親のそんな態度について。何度か夫に相談していたのですが、『注意しているんだけどな~』と強く言わないんです。義両親のせいで私たち夫婦は何度もケンカをして、仲は年々悪化しています」
子どもがいない早織さん夫婦がそれでも帰省を続ける理由は、「夫が頭を下げてまでお願いしてくるから」だという。他人から見てもわかるように義両親が待っているのは、早織さんではなく、早織さんのお金だろう。義両親はお金を持っている嫁が好きなようで、早織さんの夫は一人っ子ながら孫の催促は一切ないという。そのことを唯一のメリットだと早織さんは言うが、お金の無心というデメリットに勝るものではない。お金という義家族の結びつきがなくなったとき、関係は容易に破綻してしまうだろう。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。