取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

国立社会保障・人口問題研究所が行った「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」(令和3年6月)によると、結婚してから5年~9年経過した時点で子どもがいない夫婦の割合は、1977年では4.2%だったのに対して2021年には12.3%となっている。2010年(第14回)調査の13.8%をピークに漸減傾向にあるが、2ケタと高い数字を示している。

今回お話を伺った彩子さん(仮名・41歳)は33歳のときに結婚して現在は夫との2人暮らし。彩子さん夫婦はDINKs(Double Income No KidsまたはDual Income No Kids)と呼ばれる、子どもを持たないことを選択した共働き夫婦である。2人で決断したことだったはずなのに、片方の心変わりによって、夫婦の危機を迎えている。

両親を見て、子どもを作ると自由がなくなると思った

彩子さんは大阪府出身で、両親との3人暮らしだった。両親は8歳という年の差で、年上の父親には離婚歴があり、彩子さんの母親と再婚後に彩子さんが誕生した。

両親の夫婦仲が良かった頃は3人でさまざまなところに出かけた記憶が残っているが、夫婦仲が悪くなってからは父親は元家族のほうばかりに時間を割くようになり、後に両親は離婚に至ったという。

「父親には前妻との間に子どもがいて、私の母親との仲が悪くなったのも離婚したのも、その子どもとの関係が原因でした。よく夜中に養育費のことなどでケンカしている両親の声が聞こえてきていましたから。

両親が離婚したのは私が高校を卒業したすぐ後なのですが、小学生の頃からずっと別居状態でロクに家に帰ってこなかったので、私が離婚できなかった足枷だったんだろうなって。自分の存在は父親にとっていいものじゃなかったんでしょうね」

父親と離婚後に母親は実家を手放し、北海道や東京での暮らしを経て、現在は茨城県で悠々自適な生活を送っている。

「母親は結婚せずに彼氏と今一緒に暮らしています。私が高校を卒業するまで離婚をしないことを選択したのは母親なのか、父親なのかはわかりませんが、今自由に楽しそうな母親を見ると、もっと早く離婚してよかったのにとは思いますね。

結婚して子どもを作ることは自由がなくなることだと思ってしまったのは、このくらいの時期からかもしれません」

【恋人から夫婦に変わった“だけ”。次ページに続きます】

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