取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った奈々子さん(仮名・39歳)は現在、旦那さまと2人の子どもとの4人暮らし。旦那さまの会社がテレワークを導入したことをきっかけに、今は埼玉県の郊外にある義両親の近くで暮らしているとのこと。
「子育てのことで悩んでいたときに私は子どもの『ここができない』『ここがみんなと違う』とダメがところばかり気にしていました。周囲から言われた言葉がずっと頭の中をリフレインしているような、ノイローゼ状態でした。でも、それって言われたくないことを、ずっと自分の中で思い続けていたんですよね。それを義母は取り払ってくれました」
家族で暮らした記憶はなし。19歳のときに母親が再婚
奈々子さんは神奈川県出身で、両親との3人家族。父親と過ごした記憶があるのは小学生の低学年の頃まで。そこから父親は単身赴任で一緒に暮らさなくなり、そのまま離婚してしまったそう。
「両親が2人揃っているところをあまり覚えていないんです。父親が家にいた記憶なんて本当に数えるほどしかなくて。帰って来ないことを母親に聞いたら『遠くで仕事をしている』とだけ教えてもらって、その後会えなくなりました。
低学年の頃というのはいつ正式に離婚したのか知らないから。後に祖母に聞いた話なのですが、両親は今で言う授かり婚で、祖父母ともに急に決まった結婚に戸惑ったと言っていました。結婚当初からそこまで仲良しではなかったみたいですね」
そんな母親は奈々子さんが19歳の大学生のときに再婚します。当時母親は42歳。離婚してからそれまでは祖父母の家で母親との4人暮らしをしており、その家から母親だけが出ていったとか。奈々子さんは自ら祖父母の家に残ったと言います。
「ぎりぎり成人前でしたけど、もう親と絶対に一緒に暮らしたい年齢でもなかったので。それでも母親は一緒に暮らそうと言ってくれたけれど、絶対にお邪魔ですからね。母の旦那さんには結婚前に何度か会って食事をしたこともあって、良い人だなっていう印象です。
その人は、お義父さんというよりも母親の旦那さんって感じです。戸籍も入りませんでしたし」
【お義父さんではなく、母親の旦那さんは他人のような親族。次ページに続きます】