取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った美貴さん(仮名・36歳)は32歳のときに結婚。付き合っていた期間は4年で、そのうち8か月は同棲をしており、その中で何度も婚約破棄がチラつくもそのまま結婚。今はあのとき結婚に踏み切ったことを深く後悔しているという。
「結婚したときはもう30歳を超えていて、これを逃したら結婚できないと思い、夫の嫌な部分に目を瞑ってしまいました。結婚したからって変わってくれるわけないのに、もしかしたら、義母よりも私のほうを大切にしてくれるという期待が捨てきれなかったんですよね」
親の関心は、姉から私へとスライドされた
美貴さんは千葉県出身で、両親と3歳上に姉のいる4人家族。美貴さんの家は問題児だった姉を中心に構成されており、大人になるまでいつも家族事の外にいたと訴える。
「姉が中学の頃にいじめが原因で不登校になり、心配した両親が姉を都内の別の学校に転校させるために家族で引っ越ししたことがあるんです。なんとか高校まで卒業した姉だったんですが、勤め先を何度も辞めてはプータローとフリーターを繰り返すようになり。そんな姉が両親は可愛いのか、何をするのにも最初に聞くのは姉で、私の意見は求められていませんでした。今となっては別にいいんですけど、当時は姉のことが大嫌いでしたね。私は転校も引っ越しもしたくありませんでしたから。
今、姉はバイセクシュアルと家族にカミングアウトをして女性と同棲しています。私から何か言うつもりもないし勝手にしてくれていいんですけど、孫についても、私だけに重圧がかかっている状態に不満があります。姉らしいことを最後までしてくれない、勝手な人という印象です」
現在は放任となった姉に代わって、美貴さんが親に干渉されるようになっているそう。顔を合わせる度に、独身時代は結婚、結婚してからは孫の催促がずっと続いている。
「いつ姉のことを諦めたのか、矛先が私に変わったのは20代後半になったくらいから、ですかね。親って本当に現金ですよね。ちゃんと定職についている私を見て、この子なら親が思うような道に進んでくれると思ったんでしょう。
でも、そんな年齢のときから期待をかけられても、残っているのは結婚と孫だけ。顔を合わせる度に言われ続けたので嫌になり、今は両親との交流もあまりとっていません」
【整理整頓された冷蔵庫は女の影ではなく、母親の形跡。次ページに続きます】