取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

今回お話を伺った寛子さん(仮名・43歳)は33歳のときに結婚して、現在は子どもとの3人暮らしをしている。結婚するまでの8年、そして妊娠するまでの2年間を合わせた10年間については、幸せだったと振り返る。

「優しくて社交的な夫は、妊娠をきっかけに変わってしまった。もう夫の姿を見るだけで恐怖を感じるようになってしまっています」

親は義務で育ててくれただけ

寛子さんは千葉県出身で、両親と7歳下に弟のいる4人家族だったが、両親は寛子さんが高校生のときに離婚。父親は帰って来なくなり、そこから一度も会わないまま現在に至る。家族が4人での生活から3人になっても、大きな変化はなかったという。

「4人のときから両親ともあまり私に興味がなかったんです。別にちゃんと学校も行かせてくれたし、お金のことで困ったこともありません。でも、それだけでした。私のことを質問してくれることもなければ、私の話を熱心に聞いてくれたことなんて一切ありませんでした。

家族が3人になってからも母親の無関心は同じだったんですけど、父がいなくなったことで母親は寂しかったからなのか弟に執着するようにはなりましたね。その頃にはその干渉が私に向かなくて良かったと思うほど、もう親には何も期待しなくなっていました」

寛子さんの実家は母親方の祖父母の持ち家で、離婚後も家は裕福だった。それでも大学に進学して3か月後には実家を離れ、一人暮らしをしていた男性の家に転がり込んでの貧乏生活を選んだ。その男性とは同棲と呼べる期間は2年ながら、計4年も一緒に生活していたそう。

「大学で知り合った男友達だったんです。家での居心地の悪さを話したら『一緒に住む?』と本当に軽いノリで誘われて、本当に転がり込みました。

半年ほどはただの同居だったんですけど、その後に付き合うようになって、別れた後も一人暮らしのお金が貯まるまでは同居させてもらっていました」

【親の悪口を遠慮なく言い合える、同志と結婚。次ページに続きます】

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