キリスト教の葬儀と聞いて、参列の経験がない人にとっては、色んな疑問が沸いてくるでしょう。どんな服装をしていけばいいのか? 教義に対する知識がなくても大丈夫なのか? など、さまざまなことが脳裏を去来するのではないでしょうか。特にお金にまつわる、ご香典のことは気になることの1つだと思います。

この記事では「キリスト教の葬儀で香典は必要か」について、京都・滋賀で85年の歴史を持ち年間約6,000件の葬儀を施行する、葬祭専門企業・公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)がご紹介いたします。

もしもの時、その日の時に、この記事をお役立てください。

目次
キリスト教の葬儀に香典は必要か?
キリスト教における香典の相場や不祝儀袋
キリスト教における香典のマナー
まとめ

キリスト教の葬儀に香典は必要か?

香典とは、仏式の葬儀において、線香や抹香、お花の代わりにお悔やみの気持ちをこめ、故人の霊前に供える金銭のことをいいます。キリスト教の葬儀では、線香や抹香は用いませんし、祭壇に供物を飾る習慣もありません。つまりキリスト教の葬儀では、香典というものはなく、お供え物という考え方もないのです。

キリスト教における香典とは

キリスト教における死は、「神様の元へ召されて、永遠の命をいただく」という考え方です。その考えのもとに、神様に白い生花を捧げる、というしきたりがあります。お花を捧げることと、日本での葬儀の慣習である、香典が掛け合わさって「御花料」となりました。キリスト教の葬儀では、御花料として金銭を包み、お持ちするようになったといわれています。

表書きについて

表書きは仏式でも神式でも同じですが、薄墨を使います。不祝儀袋の中央上半分に「御花料」、もしくは「お花料」。そして、下半分にはフルネームで名前を書きます。

キリスト教には主に「カトリック」と「プロテスタント」という、大きな2つの教派が存在しますが、いずれの教派でも「御花料」といいます。カトリックで使うものとしては他に「御ミサ料」「ご霊前」があり、プロテスタントには「忌慰料(きいりょう)」があります。明確に教派が分かっている場合は、そちらを使っても問題ありません。

中袋がある場合は、表に金額を書いて、住所と名前は裏面に書きます。文字は濃い墨で書き、金額は旧字体である「大字(だいじ)」を使って書きましょう。特にキリスト教独自のルールはありません。

香典返しについて

本来、キリスト教には「香典返し」という慣習はありません。しかし、日本では仏教や神道の影響を受けて、キリスト教でも、葬儀に参列いただいた方に、ご挨拶と返礼を兼ねて贈り物をする場合もあります。一般的には、カトリックでは亡くなってから30日目の「追悼ミサ」、プロテスタントでは、1か月目にあたる「召天記念式」を済ませてから送ります。

お返しの金額は、半返しが基本です。一般的には、およそ1/3から半額程度の記念品に、のしと挨拶状を付けてお贈りします。のし紙には、黒白または黄白の結び切りの水引のものに、「志」や「偲び草」「感謝」などの表書きをすることが多いようです。

キリスト教における香典の相場や不祝儀袋

気になる御花料の金額の相場と、お金を包む不祝儀袋の選び方について解説します。

御花料の相場は

御花料としての相場は、仏式の香典と同じくらい、と考えて差し支えありません。関係性によって変わりますが、友人、会社関係者であれば5千円から1万円、3親等以内の親族だと5万円から10万円で、それ以上の親族は3万円から5万円です。

仏式では新札を包むことは避けられますが、キリスト教での葬儀も同様に新札は控えましょう。手元に新札しかない場合は、一度半分に折って、折り目をつけてから包むようにします。

不祝儀袋の選び方

キリスト教での不祝儀袋は、聖母マリアを象徴するユリの花や、イエス・キリストを象徴する十字架が描かれたもの、もしくは白無地の封筒を選びましょう。蓮の花が入っているものや、水引があるものは仏式の封筒となりますので避けます。

キリスト教における香典のマナー

葬儀の場で、実際に御花料を渡す場面でのマナーや、お供え物に関するマナーなどを解説していきます。

香典の渡し方

仏式と同様、受付で香典をお渡しします。受付で記帳を済ませる際に、一緒にお渡しすると良いでしょう。仏式と同様、袱紗から取り出し、両手でお渡しします。表書きが受付の方から読めるよう、向きに配慮しましょう。自宅での葬儀の場合は、喪主に直接渡しても問題ありません。

言葉遣いのマナー

実際に渡すときのマナーとして、お悔やみの言葉はいわないように気をつけましょう。仏式では「ご愁傷さまです」や「お悔やみ申し上げます」などといいますが、キリスト教での死は永遠の命の始まりですから、お悔やみの言葉はいいません。「ご連絡いただきましてありがとうございます」といったお礼や「どうか安らかに眠られますよう」などと伝えましょう。

忌み言葉といわれるものは、仏式と同様、使わないよう気をつけましょう。「死」や「苦」を連想させるような言葉や、「重ね重ね」「くれぐれも」などの、繰り返す重ね言葉といわれるものも使ってはいけません。

お供え物のマナー

キリスト教では、お供え物という考え方はありません。教会や葬儀場では受け付けてもらえないことが多いので、事前に葬儀会社や教会などに問い合わせてみてください。どうしても贈りたいという場合は、かごにお花を入れた「バスケットフラワー」を故人の自宅に贈るのがよいでしょう。

まとめ

キリスト教には、香典というものはありません。しかし、神に捧げるものとしての御花料はあります。本記事を機会として、仏式とキリスト教の葬儀との違いを知っていただけたら幸いです。

●取材協力・監修/公益社(https://www.koekisha-kyoto.com

京都・滋賀で85年に渡り葬儀奉仕の道をひと筋にあゆんでいます。「もしも」のとき安心してお任せいただけるのが公益社です。

●編集/中野敦志(京都メディアライン・https://kyotomedialine.com FB

 

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