時代の流れによって、変わっていくことはたくさんあります。存在すらなくなってしまうもの、もともとは違うものだったのに時代背景が変わり一緒になってしまったもの……。
葬儀と葬式、どう違うのか? あまり普段考えることもないと思いますが、その言葉の背景にある、時代の流れを知ることで、もともとの意味や目的がわかることもあります。
この記事では「葬儀と葬式の違い」について、京都・滋賀で85年の歴史を持ち年間約6,000件の葬儀を施行する、葬祭専門企業・公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)がご紹介いたします。
もしもの時、その日の時に、この記事をお役立てください。
目次
葬儀と葬式の違いについて
葬儀・告別式の内容について
一般的な流れと種類について
まとめ
葬儀と葬式の違いについて
葬儀と葬式。似たような言葉ですが、そもそも、この言葉に違いはあるのでしょうか? 葬儀と葬式の違いについてみていきましょう。
葬式と葬儀は同義語?
国語辞典で意味を調べると、それぞれの言葉はお互いに類義語とされています。つまり同義語で、普段はどちらを使っても問題はないでしょう。しかし、それぞれの言葉は厳密には違いがあり、時代の流れによって葬儀の形態も変わってきた背景があります。
葬儀の意味
葬儀には、「葬送儀礼」という言葉の意味と、「葬儀式」という言葉の意味があります。「葬送儀礼」を広義の意味として捉え、「葬儀式」は狭義の意味での「葬儀」となります。
広義の意味での「葬儀」つまり「葬送儀礼」は、亡くなられた遺体の処理に伴う諸々の儀礼であり、死者を弔う儀礼のことをさします。つまり亡くなられてから納棺、通夜、葬儀式、告別式、火葬、納骨、四十九日法要までの一連の儀式のことをさします。
狭義の意味での「葬儀」、つまり「葬儀式」は、出棺前に執り行う焼香や読経などの、遺族・親族が亡くなられた方を、供養するための一連の儀式のことをさします。ここでは狭義の意味としての「葬儀」について説明していきます。
葬式の意味
一方で、「葬式」というのは社会的な変動要素を受けて、生まれて来た言葉です。
以前は「葬儀」のあと、「野辺送り(のべおくり)」といって葬列を組んで、火葬場まで送っていました。それがいまでは火葬場までは車での移動となり、一般の人が故人をお見送りする「告別式」が同じ日に連続で行われるようになりました。それぞれの境界があいまいになってしまったことから、「葬儀」と「告別式」を合わせて「葬式」と呼ぶようになったのです。
葬儀・告別式の内容について
「葬式」における「葬儀」と「告別式」について、それぞれみていきましょう。
葬儀と告別式の違い
亡くなられた方を、家族や近しい親族でお見送りする儀式が「葬儀」で、知人や知り合いなど、生前に故人と関係があった人がお別れをするセレモニーが「告別式」です。通常は連続して行われ、境界があいまいで区別がわからないのが現状です。あえて区別するのであれば、一般焼香が始まるところからが告別式になります。
参列するのはどちら?
「葬儀」が家族での弔いであり、「告別式」が社会的な弔いのセレモニーとするならば、一般の方が参列するのは本来は、告別式からとなります。しかし「葬儀」と「告別式」の境界がありませんので、「葬儀」からの参列となるのが一般的です。
参列者が多数になる場合は、「葬儀」と「火葬」は家族や近親者で執り行い「告別式」はせずに、日を改めて「お別れ会」や「偲ぶ会」を開くことがあります。著名人やお付き合いの広い方などは、この形式を取られる方多いです。
火葬とは
「火葬」は葬儀・告別式のあとに続いて行われることが、一般的です。告別式のあと、参列者に見守られながら出棺します。火葬場には家族と近親者のみが付き添います。火葬場にて「火葬」を行い収骨。その後、初七日法要を営むこともあります。初七日とは本来、亡くなられた日を起点に7日後に営むものです。しかし、忙しい現代では火葬の後、その日のうちに執り行われることが多くなっています 。
初七日法要の後には、お斎(おとき)といわれる精進料理の会食を僧侶も招いて行われる場合もあります。
一般的な流れと種類について
葬儀・告別式の流れと葬儀の種類について説明します。
葬儀・告別式の流れ
・僧侶などの宗教者入場
・開式の辞
・僧侶などの宗教者による読経開始
・僧侶などの宗教者ご焼香
・弔辞奉読
・弔電代読
・ご焼香(喪主・遺族・親族・一般参列者の順)
・僧侶などの宗教者退場
・閉式の辞
・告別式終了
葬儀・告別式 の所要時間は、1時間程度が目安です。
葬儀の種類
葬儀・葬式には大きく分けて、以下の種類があります。
・一般葬
通夜、葬儀・告別式、火葬という流れで行う一般的な葬儀です。参列者は家族、親族の他友人知人、仕事関係の方やご近所の方などです。
・一日葬
一日葬は、通夜を行わず、葬儀・告別式、火葬を1日で執り行う形式のものです。参列者の制限はなく、一般葬と同じです。
・家族葬
家族葬とは読んで字のごとく、家族や親しい親族や友人だけで執り行う葬儀です。通夜と葬儀、火葬は行いますが、告別式はありません。
・直葬
火葬式とも言われます。遺体の安置所から直接火葬場に移動して火葬のみを執り行う形式です。
まとめ
葬儀と葬式の違いはほぼありません。以前の日本では、葬儀を執り行った後に、野辺送りといわれる葬列を組み、火葬場まで遺体を運んだそうです。時間の感覚が今ほど早くなく、故人とのお別れの儀式にもゆとりがあったように思います。忙しい現代では、永遠の別れも慌ただしく過ぎていきます。時間はせわしく流れても、葬儀、告別式、火葬、それぞれの意味を噛みしめて、故人とのお別れをしたいものです。
●取材協力・監修/公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)
京都・滋賀で80年に渡り葬儀奉仕の道をひと筋にあゆんでいます。「もしも」のとき安心してお任せいただけるのが公益社です。
●編集/中野敦志(京都メディアライン・https://kyotomedialine.com FB)