長男・次男の嫁の抗争に巻き込まれる三男の嫁
連絡の多さに嫌な思いはしたことがなかったものの、結婚前の“彼女”として相手の実家に遊びにいった時、育ってきた環境の違いを強く感じたと、当時を振り返ります。
「いうならば『完全アウェー』です。私自身も両親のことが大好きなので、夫の家族思いなところはむしろプラス要素でした。家族と折り合いが悪い人より、マザコン気味くらいのほうがずっとマシだと思っていました。
でも、結婚する前に遊びに行った時、家の物に一切触らせてくれない、手伝わせてももらえない、完全なよそ者扱い。『お客さんだから』と。義母のその言葉は親切心から出たものだとは思いますが、『何もしなくていい』と言われた時はしんどかった。それに、夫の妹から向けられる敵意は凄かったですね。私は義母の隙をついて、相手の親族に瓶ビールのおかわりを注いでいたんですが、手の添え方についてみんなの前で大きな声で注意を受けましたから」
それから数年、夫が30歳の時にプロポーズを受けて、翌年に結婚。家族になってからの扱いはどうだったのでしょうか。
「まぁ、『お客さん』ではなくなったので。あのじっとしている時間を作らないためにも、率先して何かを手伝うように努めました。
でも家族になったらなったで、次に見えてきたのが、長男、次男の嫁との抗争です。義母は次男の嫁が特にお気に入りなようで、それをみんなの前でも隠さない。夫以外は同じ敷地ではないものの2家族とも実家の近くで暮らしていて、その両者の嫁の関係がすごくピリピリしていました。三男の嫁の私は完全に除け者状態です。私だけ10歳くらい下だったこともあったので相手にもされていない感じでした。私も巻き込まれたくない気持ちから、気づいてないフリをし続けたかったんですが、そうもいかなくて……」
千鶴さんが巻き込まれたのは、オブラートに包まれた陰口合戦。帰省時に気が休まる時はなかったそう。
「料理を作っている時に、どちらか片方が買い出しなどで外れると、調理中はずっといないほうの悪口が続きます。例えば『私だったらこんなに日持ちしないお土産を持ってこない』とか、『調理中に何度も髪の毛を触っていて不潔』などもありました。そんなことを聞くと自分も何を言われるかわかりませんよね。私はネイルをしていたんですが、帰省する前にとるようにしましたし、髪も後れ毛が一切出ないようにガッチガチに束ねて行くようになりましたね」
中立な立場で年に2~3回の帰省をやり過ごしていたものの、子どもが生まれたことでさらに役割は複雑化していき……。【~その2~に続きます。】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。