取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺った久美子さん(仮名・38歳)は婚活パーティーで知り合った4歳上の男性と31歳のときに結婚。結婚前の2年間の間に束縛されることはあっても、久美子さんだけに求めるのではなく“お互い”だったからこそ、許容できたと振り返ります。
「『その日の予定を報告し合うこと』、『お互い異性の出会いの場には行かないこと』など、相手にも同じ制限があった。私が求めたものではなくても、お互いさまだなって受け入れられたんです。
それに、ただ単純にそんなに私のことが好きなんだって嬉しくもありました」
「もう必要ないでしょ」と独身時代の交友関係を断ってくる夫
夫の義母は早くに義父を亡くしてずっと一人暮らし。久美子さんたちの結婚後すぐに夫は新居の近くに呼び寄せるも、義妹も近くに暮らしており、反対はできませんでした。徒歩3分ほどの距離ながら大きな交流もなかったと言いますが、結婚後の決め事に久美子さんが許容しなかったことで交流が一気に増える結果になってしまったそう。
「結婚後に束縛が異常レベルになりました。夫の希望で私は正社員から時間に余裕があるパートに変わったのですが、パート先の条件は女性だけの職場。だから飲食店などでは働くことができず、勤め先は女性専用の脱毛サロンになりました。他にも、今まで勤めた先の男性の連絡先は消去することを夫曰く『もう必要ないでしょ』と。SNSは禁止で例外的にLINEのみ、でも友人一覧を抜き打ちでチェックされていました。さらに外出するときは逐一報告しないといけないことに加え、月の外出は2回までということまで決められて……。さすがに嫌だと訴えたら、義母が登場したんです」
義母の説得は『私のほうがもっと酷かった。これくらいで音を上げては本当の夫婦になれない』ということを繰り返し伝えられるものだった。
「『私はお父さんから一度の外出でも何度も許可が必要だった』というような経験を語り、『あなたは恵まれている』『息子は優しい』『なぜできないの? 夫を不安にさせているのに』という言葉を浴びせられ続けます。夫には言い返せても、あまり仲良くない義母には言い返せないですよ。そうですね、と流すしかありません。
その後、義母から話を聞いたのか、『受け入れてくれてありがとう』と夫が抱きしめてくる。その繰り返しで、束縛は時間をかけて酷くなっていきました」
【束縛夫がいなくなったら、何も残らない。 次ページに続きます】