取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、その時に感じた率直な思いを語ってもらう。
甘えた考えを改めたのは大好きな祖父母の死
今回お話を伺った、真白さん(仮名・36歳)は、30歳の時に高校時代から付き合っていた同級生と結婚。交際時から数えると人生の半分を一緒にいる旦那さまとの離婚を考えているそう。
「自分がいけないのかもしれませんが、現在の夫は私に頼りっきり。付き合っている頃から少しずつ私の負担が大きくなってきて、今は子作りさえ満足にできない状況です。それに、夫の考えを汲んで、子どもを作らないことを義母は賛成していて……」
真白さんは大阪府出身で、両親と6歳上の兄がいる4人家族。小さい頃は末っ子気質で超がつくほどの甘えただったと振り返ります。
「両親は特別に厳しくも甘くもなかったんですが、家から車で30分ほどの距離に住んでいる父方の祖父母が私に特に甘くて、好きなものを何でも買ってくれていました。だから私は祖父母の家に行くのが大好きで、毎週のように父親の運転で連れて行ってもらっていましたね。大人になってわかったのですが、仕事疲れで土日のどっちかはゆっくりしていたかったはずなのに、父親は私が小さい頃は毎週連れて行ってくれました。多少文句を言われていた記憶は残っていますがね(苦笑)」
その大好きだった祖父母が亡くなったのは高校生と社会人になりたての時期。自分の給料で何かをプレゼントすることはかなわなかったそう。しかし、お金を稼ぐようになって、親への恩返しを意識していったと言います。
「高校生の時に祖父が、社会人になって2か月目の時に祖母が亡くなりました。母方の祖父母は私が生まれる前に亡くなっていたので、私の祖父母はあの2人だけだったんです。敬老の日などにプレゼントはしていましたが、それはお小遣いでしたから。やっと自分が稼いだお金で何かをプレゼントできると思っていた矢先に寝たきりになってしまい、祖母はそのまま……。
祖父母が亡くなって、生まれて初めて人の死というものを身近に感じて、いつか親も私よりも先に死んでしまうんだと、リアルに感じました。いつまでも頼っていてはいけないんだなって、もっとしっかりしなくてはと思ったんですよね」
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