個人年金保険は、老後の資金準備あるいは何か明確な目的を持った積み立てのために活用されます。しかし、加入する際にメリットばかり注目しすぎると、加入した後にこんなはずではなかったと後悔するケースもあるでしょう。今回は、個人年金保険の「デメリット」に注目してみていきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
個人年金保険のデメリットとは?
個人年金保険に入らないほうがいい場合とは
個人年金保険のメリットとは?
まとめ
個人年金保険のデメリットとは?
個人年金保険に加入する際には「メリット」だけでなく、「デメリット」についても理解しておくことが重要です。では、「デメリット」とはどのようなものなのでしょうか?
解約が出来ない
個人年金保険のデメリットとしては、「安易に解約できない」ということが挙げられます。個人年金保険は、保険料の支払期間、あるいは一時払いをしてから年金受け取り開始時までの期間の途中で解約をすると、支払った保険料よりも受け取る解約返戻金が少ないケースがほとんどです。そのため、一度加入したら安易に解約することが出来ません。
「安易に解約できない」ことによる影響について、ケース別に見ていきましょう。
<保険料の支払いが困難になった場合>
例えば、「会社が倒産し転職を余儀なくされ、収入が月5万円減ることになった」などの場合。想定外のことが起きた際の備えをしていないと、支出や積み立てを減らすなどの対策が必要となります。しかし、保険料の支払いが困難になった場合でも、個人年金保険は安易に解約できませんので悩むところです。万一解約となる場合、途中解約による元本割れで損失となる可能性が高いでしょう。
<他に効率の良い資金準備の方法がある場合>
他の金融商品を活用して資産運用した場合、得られる結果が全く異なるケースが考えられます。
例えば、返戻率120%の個人年金保険に30歳から60歳まで30年間、月々1万円の保険料を支払った場合。受け取ることが出来る年金総額は432万円。
他の金融商品を活用して同じく30年間、月々1万円を仮に年利回り5%の複利運用で積み立て出来たとすると、819万円。
結果は倍額近くとなるので、その差は歴然です。
他の金融商品を活用することで、より効率よく資金を準備することが出来るとしても、個人年金保険は安易に解約することが出来なたいため、簡単に商品を切り替えることが出来ません。途中で切り替えたとしても機会損失が生じるので、はじめから資金準備の方法を十分に検討したいところです。
個人年金保険に入らないほうがいい場合とは
個人年金保険に入らない方がいい場合についても見てみましょう。
<ライフプランが何も定まっていない場合>
個人年金保険は、基本的には老後の資金準備が目的となっています。そのため、結婚・住宅購入・子どもの教育資金など、老後資金以外の目的でお金が必要になったとき、個人年金保険で積み立ててきた資金を取り崩すことができません。
また、途中解約すると元本割れで損失が出てしまうことがほとんどです。老後資金以外に、どのような資金がいついくら必要になるのか、自分のライフプランを作り把握したうえで老後の資金準備をすることが重要です。ライフプランが何も定まっていないうちに、個人年金保険を「なんとなく」始めてしまうことはおすすめできません。
<返戻率に満足できない場合>
前述のような、5%の利回りでの資産運用などはリスクの大きい(値動きの幅が大きい)金融商品を活用しますので、時には元本割れをしてしまう可能性があります。しかしながら、資産運用の正しい知識を身につけて、5%の利回りでの資産運用が可能となるならば、個人年金保険よりも効率的に資金準備をすることが出来ます。
特に円建ての個人年金保険の場合は、予定利率が低いため高い利回りを期待することが出来ません。返戻率に満足できない人は、他の資金準備の方法を活用すると良いでしょう。
個人年金保険のメリットとは?
デメリットについて注目してきましたが、「メリット」がなければ加入しようとは思えません。次に、個人年金保険の「メリット」について見ていきましょう。
<堅実に資金準備が出来る>
あらかじめ返戻率が決まっている商品を選ぶことで、銀行に預けておくよりも多くの資金を準備することが出来ます。元本割れの可能性がある資産運用は活用したくないが、預貯金よりは高い利率で積み立てたい、という人には個人年金保険が適しているでしょう。
<節税効果がある>
個人年金保険の保険料は、一部が所得税控除の対象になります。以下の要件を満たすことが必要ですが、特に難しいことはありません。
・年金受取人が契約者、または契約者の配偶者となっている。
・年金受取人が被保険者と同じである。
・保険料払込期間が10年以上。
・受け取る年金の種類が確定年金・有期年金の場合は、年金開始日における被保険者の年齢が60歳以上で、年金受取期間が10年以上であること。
・加入する個人年金保険に『個人年金税制適格特約』を付加すること。
積み立てをしながら節税も出来ることは、個人年金保険に加入するメリットの一つです。
<計画的に資金準備できる>
加入年齢にもよりますが、「いつから」「いくらの資金」が「何年間」必要というように、あらかじめ準備したい資金が決まっている場合に個人年金保険を活用すれば、計画的に資金準備をすることが出来ます。
まとめ
個人年金保険に加入する目的は、主に老後の資金準備です。そのため、「途中で解約する」ということがないように、ライフプランを作って自分の資金の流れを把握することが重要です。ライフプラン作りについては、ファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめいたします。
資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行われています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて、色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか? さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。
保険や金融商品を「販売しない」独立系のファイナンシャルプランナーは、中立的かつ客観的な立場から相談に乗り、あなたのライフプランに合った正しい選択肢を示してくれます。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
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