ふるさと納税を行うと、ご自身の税金を低く抑えることができますが、ふるさと納税を行うだけでは税金を引き下げることはできません。確定申告を行うことが必要です。確定申告といった言葉を目にすると、大変面倒に感じられるかもしれません。しかし、e-Taxにより確定申告をすれば比較的簡単に手続きを済ますことができます。

そこで今回は日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com)の税理士 中川義敬が、長年にわたる税務申告のサポートを通じて得た幅広い知識や経験に基づき、ふるさと納税の確定申告を「e-Tax」で行う方法、メリットや手順についてご紹介いたします。

目次
ふるさと納税で確定申告を行う方法とは?
「e-Tax」とは?
ふるさと納税で「e-Tax」を使うメリットは?
ふるさと納税で「e-Tax」を行う手順
まとめ

ふるさと納税で確定申告を行う方法とは?

会社にお勤めの方は年末調整により源泉所得税が還付されますが、ふるさと納税は年末調整と寄附だけでは適用されません。そのため、別途確定申告が必要になります。確定申告は、確定申告書に給与所得等の所得内容やふるさと納税額などの一定の事項を記載し、お住まいの所轄税務署に提出することが必要です。それを税務署に直接持参するほか、郵送での提出やe-Taxで電子申告により提出することが認められています。

確定申告の必要書類

確定申告でふるさと納税を行うには、以下の書類が必要になります(給与所得者の場合)。

・マイナンバーカードなどの本人確認書類
・その年の源泉徴収票
・寄附金受領証明書

ふるさと納税を多数の自治体に実施されている方には特にご留意いただきたいのですが、確定申告には「寄附金受領証明書」の添付が必要です。そのため提出が終わるまで、寄附金受領証明書を捨てずに保管する必要があります。

確定申告の提出期限

原則的に、確定申告は翌年2月16日から3月15日までの期間に行う必要があります。しかし、医療費控除やふるさと納税による寄附金控除を受けることで、税金が還付される方は、この期限ではなくとも、翌年1月1日から5年間の間に還付申告を行うことが可能です。

「e-Tax」とは?

e-Taxとは、国税の電子申告・納税システムをいいます。従来は、確定申告書を所轄税務署に持参、または郵送により提出する必要がありました。しかし、e-Taxを利用すれば、作成した申告書などを電子データの形式により、インターネットを通じて管轄の税務署に提出することができます。

e-Taxであればインターネットを通じて申告を行うことが可能なため、税務署に出向く必要はありません。また、申告書を郵送する手間も省けます。e-Taxを行うには、「利用者識別番号」と「電子証明書」が必要になります。「利用者識別番号」とは、電子申告を行うために必要な16桁の個人の識別番号をいい、なりすましを防止するために導入されました。e-Taxにより電子申告を利用するためには、まず利用者識別番号の発行が必要です。

また、電子証明書は、認証局が「間違いなく本人であること」を電子的に証明するもので、書面取引における印鑑証明書に代わるものとなります。マイナンバーカードを発行されている方は、マイナンバーカードのICチップに電子証明書が組み込まれているため、改めて電子証明書を取得する必要はありません。

ふるさと納税で「e-Tax」を使うメリットは?

ふるさと納税による寄附金控除を受けるためには、「寄附金受領証明書」を確定申告書に添付する必要があります。ふるさと納税を多くの自治体に実施されている方にとっては、寄附金受領証明書を税務署に提出することが面倒に感じるかもしれません。しかし、e-Taxにより寄附金受領証明書の必要情報を入力することで、寄附金受領証明書を税務署への提出する手間を省くことができます。

また、令和3年以後の確定申告においては、一回の寄附ごとの「寄附金受領証明書」に代えて、ふるさと納税のポータルサイトが発行する年間寄附額を記載した「寄附金控除に関する証明書」を確定申告書に添付することが認められました。

以前までは、一回の寄附ごとの寄附金受領証明書の添付が必要でした。特に多数の自治体にふるさと納税を実施される方は、各々の寄附金受領証明書を保管し管理する必要がありました。しかし、令和3年以後は、ポータルサイトにより年間寄附額を記載した寄附金控除に関する証明書を発行することが可能になり、各自治体から送付される寄附金受領証明書を保管、管理する必要がなくなりました。

e-Taxを利用する場合には、ポータルサイトからダウンロードした寄附金控除に関する証明書(XML形式)を添付することで、寄附金控除を受けることができます。

ふるさと納税で「e-Tax」を行う手順

ここでは、e-Taxによる確定申告の手順について説明いたします。

1:e-Taxを利用するために利用者識別番号を取得

ご自身の生年月日や住所などの個人情報を入力し、当該情報をインターネットを通じて管轄の税務署に届け出ることで、利用者識別番号を取得することができます。この利用者識別番号は電子申告を行ううえで必要になりますので、忘れずに保管してください。

2:e-Taxの確定申告等作成コーナーに、所得内容やふるさと納税額などの一定の事項を入力

確定申告等作成コーナーは、誰でも確定申告が行えるように簡易な作りとなっていますので、確定申告等作成コーナーの指示に従って、必要事項を入力してください。

3:ポータルサイトからダウンロードした寄附金控除に関する証明書(XML形式)を添付します。

4:できあがった確定申告書の電子送信を行う

電子送信後、送信結果や送信した確定申告内容を印刷することができます。

まとめ

e-Taxやマイナンバーカードの普及により確定申告の煩雑さは軽減されています。今やスマートフォンでもe-Taxを利用することができるなど、従来と比べて申告手続きが格段と容易になりました。お時間の許す方は国税庁のホームページにより、e-Taxについて確認していただき、可能な限り確定申告の手間を省いていただければと思います。

●取材協力/中川 義敬(なかがわ よしたか)

日本クレアス税理士法人 執行役員 税理士
東証一部上場企業から中小企業・個人に至るまで、税務相談、税務申告対応、組織再編コンサルティング、相続・事業継承コンサルティング、経理アウトソーシング、決算早期化等、幅広い業務経験を有する。個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業継承」、「争続にならない相続」のアドバイスをモットーとしており多くのクライアントから高い評価と信頼を得ている。

日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com

構成・編集/松田慶子(京都メディアライン ・https://kyotomedialine.com

 

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