生命保険

私たちが日々生活をする中には、様々なリスクが潜んでいます。病気、死亡、けが、介護など予期しない出来事で生活が経済的に困難になることも。

そんな「もしも」のために備えておくのが生命保険、ご自身やご家族も加入しているという方が多いのではないでしょうか。生命保険文化センター平成28年「生活保障に関する調査」によると、生命保険(個人年金保険を含む)に加入している人の割合は、男性81.7%、女性83.0%。非常に多くの人が加入していることから、生命保険はとても身近な存在であるということがわかりますね。

ところで、生命保険の死亡保険金は、相続税対策になることをご存知ですか? この記事では、私たちにとって身近な生命保険を使った相続税対策について解説します。

アクティブシニアのライフサポートを行う株式会社ユメコム代表の橋本珠美が、豊富な経験や事例をもとにアドバイスを申し上げます。いざという時に備え、生命保険の相続税対策をこの機会にぜひ学んでください。

目次
相続税節税のために考えたい保険の活用方法
「生命保険」が相続税対策になる理由
みなし相続財産の注意点
まとめ

相続税節税のために考えたい保険の活用方法

保険を活用した節税には、どういった方法があるのでしょう。実は保険加入にはポイントがあり、知っておくことで効果的な相続税対策ができます。以下で、まずは理由からご説明していきます。

「生命保険」が相続税対策になる理由

では、なぜ生命保険が相続税対策になるのでしょうか? その理由を大きく3つのポイントに分けて解説します。

【理由1】非課税枠がある

死亡保険金の非課税枠は1人500万円。死亡保険金は、家族を亡くした遺族の生活を支えるためのものです。そのため、死亡保険には非課税枠が設けられています。

500万円×法定相続人の数=生命保険等の非課税枠

1人500万円の非課税枠ということですが、もう少しわかりやすくするために、具体的な事例をあげて見てみましょう。

▷具体的な事例を使って解説

夫が亡くなり、保険金受取人の妻に2,500万円の保険金が入りました。法定相続人は、妻と子どもたちの合計4 人です。

この場合の非課税枠の求め方は、500万円×法定相続人4人で2,000万円が非課税(計算式1)となり、保険金額の中で、500万円のみが課税対象(計算式2)となります。

1:500万円×法定相続人4人=非課税枠2,000万円
2:生命保険金額2,500万円−非課税枠2,000万円=相続税課税対象額500万円

▷非課税枠を受けられる受取人は相続人のみ

相続人以外の人が受け取る場合は、この非課税枠を使えません。ただし、法定相続人の誰かが相続放棄をしていたとしても、死亡保険金の非課税枠の計算に変わりなく、非課税枠を活用することができます。

【理由2】 納税資金を準備できる

節税対策をしても相続税の課税が避けられないケースでは、納税資金も準備しておく必要があります。相続税の納税期限は10か月以内。「相続財産が不動産しかなく現金がない」などの場合には、生命保険を納税資金に充てることができます。

代償分割

【理由3】代償分割に備えられる=遺産分割がスムーズにできる

代償分割とは、共同相続人等のうちの1人が、不動産等を相続する代わりに、他の共同相続人に対して生じる相続財産の差を代償金として支払う方法です。

遺産分割の際、問題が起こりがちなのは、遺産が自宅不動産のみの場合、そして相続人が複数人いる場合です。

例えば、相続人が被相続人の長男と次男であるケース。長男が父名義の自宅に同居していた場合、自宅を売却して次男と分けるとなれば、長男は自宅を失います。また、反対に長男が自宅を相続すれば次男は相続分を受け取ることができませんね。

そこで、有効なのが生命保険なのです。

代償分割には生命保険が有効

長男が自宅を相続し、次男に評価額の半分の代償金を生命保険金で準備できれば、公平に遺産分割をすることができますね。

生命保険金は相続財産には含まれず、受取人の固有の財産となります。なので、長男を受取人にした生命保険をかけておけば、長男は資金を準備することができるのです。

遺産分割協議書に「代償として」の明記が必要

遺産分割協議書の中で代償分割を記載しないと、代償金の支払いが単なる贈与となり、贈与税を課税されることがあります。

代償金の支払いに対して贈与税が課税されるのを避けるためには、遺産分割協議書に「代償として」支払うということを明確にする必要があります。

みなし相続財産の注意点

民法では相続財産とならなくても税法では相続財産とみなされるものを「みなし相続財産」といいます。生命保険は「みなし相続財産」と判断されるものの1つですが、注意点があります。

相続放棄した場合

相続放棄をすると、相続財産のすべてを受け取ることができなくなりますが、生命保険金や死亡退職金などの「みなし相続財産」は相続放棄をしても取得可能です。ただし、相続放棄をすると、相続人とみなされなくなるため、生命保険や死亡退職金などの非課税枠が利用できません。

3年以内に贈与されたものも「みなし相続財産」に

相続前3年以内に被相続人から贈与された財産もみなし相続財産と判断されます。相続前3年以内の贈与は、「かけこみ贈与」の対策として相続財産として考えられるという決まりがあります。しかし、贈与税の申告納付を行っている場合は、その納付した贈与税は相続税から控除の対象となります。

まとめ

「生命保険による相続税対策」について解説してきましたが、いかがでしたか?  生命保険の死亡保険金が相続税対策になる3つの理由。非課税枠があり、納税資金に充てることもできる、さらに代償分割に有効であることがおわかりいただけたと思います。このような情報を事前に知っておくことで備えることができますね。

自分自身が元気なうちに受取人を変更しておこうか等、考えるきっかけになった方もおられるのではないでしょうか。

残された家族が平和に過ごせるように。家族に遺志を生前に伝える機会を持っておきたいものですね。

●構成・編集/ 末原美裕・ 内藤知夏(京都メディアライン・http://kyotomedialine.com)

●取材協力/橋本 珠美(はしもと たまみ)

2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。

株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com

●取材協力/中川 義敬(なかがわ よしたか)

日本クレアス税理士法人 執行役員 税理士
東証一部上場企業から中小企業・個人に至るまで、税務相談、税務申告対応、組織再編コンサルティング、相続・事業継承コンサルティング、経理アウトソーシング、決算早期化等、幅広い業務経験を有する。
個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業継承」、「争続にならない相続」のアドバイスをモットーとしており多くのクライアントから高い評価と信頼を得ている。

日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com

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