喪主

人生も長く生きておりますと“役回り”ということが巡ってきます。この“役回り”には、「はい、はい」と二つ返事で受けられるものばかりではございません。気が重くなるような“役回り”もあり、色々と理由をつけて“役”に就かないようにする向きもございます。

経験があることならば快く引き受けられても、全く経験や知識がないことになると「損な役回り」のようで嫌なものです。

しかしながら、どのような理由をつけたところで、決して逃れることのできない“役回り“というものがございます。その一つが「喪主」。人生において「喪主」を務めるのは、一度か二度、有るか無いかのことで、経験など積むべくもありません。

しかし、どんなに悲しみが深くとも、最愛の人の葬儀に際し、喪主として凛とした態度で式典に望みたいと考えることでしょう。

そこで、この記事では「喪主がすべきこと」について、京都・滋賀で80年の歴史を持ち年間約6,000件の葬儀を施行する、葬祭専門企業・公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)がご紹介いたします。

もしもの時、その日の時に、この記事をお役立てください。

目次
「喪主」とは?
「喪主」の役割
出棺時の挨拶例
まとめ

「喪主」とは?

「喪主」とは、葬儀を主催する人のことを言います。長い人生においても「喪主」をつとめることは数えるほど。「あれは失敗した。よし、今度こそは!」というわけにはまいりません。やること、決めることが多く大変な「役回り」です。まずはおおまかな役割を知っておきましょう。

「喪主」になる人は決まっている?

「喪主」になる人の決まりごとや一般的なルールなどはありません。以前は、家長として長男が喪主を務められるのが一般的でしたが、今は家庭の事情で配偶者、同居の家族などが務められるケースもあるようです。

「喪主」は、遺族を代表して弔問を受ける大切な役目。それにふさわしい方が務めれば、なんら問題はありません。

「喪主」の役割

「喪主」は、とにかくやることが多くて大変です。故人を失った悲しさを感じる暇がないくらい忙しいもの。しかし、その忙しさのお陰で気が紛れ、故人を失った辛さが和らぐのかも知れません。ここでは、「喪主」の役割について順を追ってご説明させていただきます。

葬儀の打ち合わせ

まずやることは、「葬儀全般の決めごと」です。これについて遺族・親族や葬儀社、寺院などと打ち合わせをします。

最初にお通夜や葬儀の「式場や日程」を決めます。式場や日程が決まりましたら、次は「費用」です。費用に影響のある事柄をすべて決めていきます。最近はおおまかな予算からパックで内容が決まっているものもあります。

葬儀社との打ち合わせの中で「喪主」が決めることは、返礼品の「粗供養品」選び、故人の「遺影写真」選び。遺影写真については生前に選んでおく方も、最近では増えているようです。

最後にお手伝いいただく「お世話役の方」を決めて依頼をしておきます。

親族に対しての対応

親族と相談して、「亡くなったことを連絡」します。どこまでの範囲で連絡するかを決めます。一般参列者への連絡は名簿等をお渡しして、お世話役の方に依頼しておきましょう。

自宅でお通夜・葬儀を執り行う場合は、「家の片付け」をしなければなりません。多くの弔問客が来るのであれば、スペースの確保と、車で来られる方への駐車場の確保も必要です。

納棺・式場準備

葬儀場に故人が到着し、納棺する際に立ち会います。その際、事前に準備した故人の愛用品を供えます。葬儀場が自宅の場合は、町内会や近所の方へ挨拶をしましょう。

「花や樒(しきみ)の手配」と「配列順や字の確認」、「会葬礼状印刷物の確認」なども行います。

通夜

お通夜では、「通夜後の食事の手配」と「粗供養品の確認」を行います。また、お手伝いしていただける方々には挨拶をしっかりとし、お通夜終了後にお礼と粗飯料をお渡ししましょう。お通夜後の食事の席では「挨拶」をします。

翌日の葬儀における、焼香する順、火葬場へ行く人、火葬場へのハイヤーの乗車順、収骨する方、出棺後のお留守番の人なども決めておくといいでしょう。

告別式

告別式では葬儀場に届いた「弔電を選別」し、披露の際に読み上げる順番を決めます。

出棺時には、「位牌、骨箱、写真を持つ人」を決めておき、参列者に向けて「挨拶」をします。火葬場へ行く方の選別と火葬場にて収骨まで待つ人の人選を伝達。受付けなどのお手伝いをいただいた方々には、お礼と粗飯料をお渡ししましょう。

出棺

帰宅

自宅での葬儀の場合、火葬場から帰宅したら、まずはお世話になった町内の方々への挨拶。仕上げの席で親族に挨拶をします。

式後

葬儀が終わったら、後日、葬儀委員長やお世話になった方々への挨拶を行います。また、香典返し、役所や会社等への届出など、式後の手続きを実行。

これで終わりではなく、親族と寺院とは、お逮夜、忌明け法要、納骨に関しての打ち合わせを行います。

出棺時の挨拶例

「喪主」は出棺時に参列者に向けて、故人最後のご挨拶を故人に成り代わり行わなければなりません。一般的な挨拶の例と、事業継承を行う場合の例を示しておきます。

一般的な挨拶例

遺族を代表いたしまして、皆さまにひとことご挨拶申し上げます。

本日はご多用中にもかかわりませず、ご会葬、ご焼香を賜わり、おかげをもちまして葬儀、告別式も滞りなく終えることができ、これより出棺の運びとなりました。

生前は一方ならぬご厚誼(こうぎ)にあずかり、今ここに最後のお見送りまでいただきまして、故人もさぞかし皆さまのご厚情(こうじょう)を感謝いたしておることと存じます。

なお、残されました母と私どもに対しまして、今後とも亡き父の生前中と変わりなきご指導、ご交誼(こうぎ)を賜わりますようお願い申し上げまして、場所柄簡単ではございますが、ご挨拶とさせていただきます。

事業継承の挨拶例

皆様には、たいへんお忙しいなか、またお足元の悪い中を、亡き父○○○○の葬儀、告別式に、このように多数ご参列いただきまして誠にありがとうございました。私は、長男の○○でございます。遺族を代表して一言ご挨拶させていただきます。

父は、昭和○○年、○○歳の時に現在の○○株式会社の前身である○○商事を創業いたしました。以来、社業発展のために全身全霊で取り組んで参りました。その道の途中にはさまざまな困難があったと、聞いております。父は常々こう言っていました。「商売は従業員や取引先をはじめとした多くの方の支えがあって、成り立つものだ。その方たちとの関係を大切にしなければならない」と。

私も父の会社を引き継ぎ、父の言葉がようやくわかって参りました。現在の○○株式会社があるのはひとえに皆様のご厚情のおかげと、本当に感謝しております。父も、本日このように多くの方にお見送りいただき、喜んでいることと思います。父に代わりまして心から御礼を申し上げます。

今後は、父の遺志を引き継ぎ、残された家族、従業員が気持ちをひとつにして社業発展に全力を投じる覚悟でございます。亡き父同様にご厚誼のほどをお願い申し上げまして、お礼の言葉に代えさせていただきます。

本日はありがとうございました。

まとめ

葬儀の2日間、故人が自慢できるような振る舞いを、「喪主」が行うことが故人への最高の供養だと思います。凛とした立ち姿によって、残された人たちの悲しみを軽減できる立場でもあるかもしれません。

ぜひ、これらの役回りを立派にこなし、最後まで故人自慢の人であることを願います。

●取材協力・監修/公益社(https://www.koekisha-kyoto.com
京都・滋賀で80年に渡り葬儀奉仕の道をひと筋にあゆんでいます。「もしも」のとき安心してお任せいただけるのが公益社です。

●編集/中野敦志(京都メディアライン・https://kyotomedialine.com FB

 

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