義弟の出戻り同居で自分の子ども嫌いを責めるように
義弟も仕事があるため、幼稚園の年齢である子どもを預かってくれる場所を近場で探し、そこから家族の分担にお迎えや子守が組み込まれることになった。最初こそ平等だったものが「娘だから」という言葉で同性である義母や琴子さんの負担が大きくなっていった。
「複雑な気持ちがありました。家族の家事のローテーションに義弟を入れると長居されてしまうかもしれない。でも、こっちの負担が大きくなるだけでは我慢もできない。やはり自分の子どもが可愛いのか義母は義弟の分まで子育てを頑張っていました。私はそんな姿を見ると、『(家事を、子育てを)変わりましょうか?』と言わざるを得ない状況でした。
何度も何度も夫に『弟さんはまだいるのか?』『ちゃんと家を探しているのか?』と聞きました。そのせいで私と夫までがギクシャクしていったのです」
義弟の出戻り同居は7か月に及び、夫が尻を叩き続けたことでやっと出て行ったという。弟は出て行く際に義母との同居を希望したが、夫が即座に拒否。琴子さん夫婦が義母との同居を続けたことで今も姪の面倒を見る日々が続いていると訴える。
「義母との同居を続けることだけであれば何も思うところはありません。でも、義母がいることで義弟との関係が続いてしまいました。義弟は私たちの家の近くのアパートを借り、ことあるごとに頼ってきます。義母はそれに対して喜んでいるようなのですが、やはり孫の相手は疲れるのか、家ではぐったりしていることが増えています。そうなると、私の家事負担が増えます。
また、私のことを思って義弟を追い出してくれた夫ですが、姪のことは可愛いようで、なんだかんだいって世話を焼いています。それだけなら勝手にしてくださいという感じなのですが、私にも同じく“可愛く”思う気持ちを求めてくるんです。姪と遊ぶときには私を誘ってきたり、一緒に出掛けることを求めたり。私はまったく可愛いと思っていないのに、そんな気持ちになれない自分がおかしいのかなと追いつめられる毎日です。夫にさえ素直な自分の気持ちを言えなくなって、今の生活が窮屈で仕方ありません」
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「子どもが嫌い」と思っている人は一定数いるが、それを悪いことだとタブー視する人も多い。琴子さんのように「子どもを嫌いと思ってはいけない」と自分を責めて苦しくなってしまっている人がいるかもしれないが、「嫌い」は感情の1つであり、悪いことではない。嫌いと思う対象は自分で決めるもので、他人に判断されるものではないのだから。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。