取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

今回お話を伺った琴子さん(仮名・40歳)は33歳のときに結婚して、現在は夫と義母との3人暮らしをしている。義母との同居についても思うところはあるものの、現在の悩みの中心にいるのは姪。一時同居していて、その後も懐いてくる姪のことが嫌いだと訴える。

「私は子どもが好きじゃありません。でもそれを大っぴらに言うことは控えています。子どもに対して大きな声で嫌いと言うと、どこか冷たい人に見られてしまう世の中です。ましてや親族にあたる姪のことを嫌いなんてとてもじゃないけど言えない。姪は夫の弟の子どもなので私との血のつながりは一切ないのに、どうして可愛がって当然な存在なんでしょうか。そんなことを思う私が悪いのでしょうか」

両親の不仲が当たり前の家。でも、居心地は悪くなかった

琴子さんは千葉県出身で、両親と3歳下に妹のいる4人家族。小さい頃から両親は不仲、大きなケンカをしたと思ったら数か月父親が帰って来なくなっていた。父がいなくなっていることに対して母親が何も言わなかったから、子どもたちも何も言わない。その程度の家族仲だったと琴子さんは振り返る。

「小さい頃から私は、ある意味空気の読める子でした。父のご飯が用意されていなくて、母親は当然のように3人分しか食事の用意をしないときは、“触れちゃダメだ”って自然と思うようになりました。小さい妹の無垢な疑問にも、『しっ!』って黙らせたこともあります。

でもその疑問も最初の頃だけで、中学とか高校生になると親よりも友だちと一緒のほうが楽しいから、父の存在なんてどうでもよくなります。実際に母さえいれば家は回っていたし、不満もありませんでした」

そんな両親は琴子さんが28歳のときに離婚。父が完全に家に居なくなったことで妹が実家に戻り、現在も母親と妹は実家で2人暮らしをしているという。

「昔からずっと一緒に暮らしたり離れたりの両親だったからもう別れないと思っていたんですけど、結婚30周年で何の区切りかわかりませんが離婚となりました。世間の熟年離婚がどういうものか詳細は知りませんけど、私の両親は離婚した後も連絡を取り合っていて、それなりに仲良しです。ケンカが多かった若い頃の離婚ならこんな関係になれていなかったと思うので、熟年離婚も悪いものではないのかなと勝手に納得しています」

【同居前提を受け入れて、33歳で結婚。次ページに続きます】

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