関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、肉親を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。

***

今回の依頼者は、中村茂子さん(仮名・65歳)です。調査対象は、息子(三男・35歳)の妻(35歳)。結婚7年で、息子夫婦とは仲睦まじく、6歳、4歳、2歳の孫娘がいるとのこと。

息子の嫁が、見知らぬ男性と東京駅で出会っているところを偶然見かけてしまい、私達に調査を依頼されました。

【調査までの経緯はその1で】

息子夫婦の夫婦仲は、異常に良い

茂子さんが嫁を目撃した日から、2週間後の週末に調査を実施。

この週末は、3人の孫娘を泊りがけで預かることになっており、息子夫婦は「仕事が多忙で申し訳ない」と言っているとのこと。

張り込みは、息子さんの自宅からスタート。東京都内の住宅街にある一戸建ての借家です。 朝8時に、長女が小学校に行くため出てきました。 10時になると、お嫁さんがスーツ姿で出てきました。彼女は依頼者・茂子さんの言うように小柄でかわいらしい女性。マスクをしていることもあり、20代前半にも見えます。

ドアの外で待っていると、息子さんが2歳のお嬢さんを抱っこし、4歳の次女の手を引いて、実家に歩いていきます。

見知らぬ男性と親密でいたことの目撃情報を知らなければ、非常に仲がいい理想的な親子とも言えます。息子さんは背がすらりと高いイケメン風。

2人の娘を実家に預けると、息子夫婦は手をつないで電車に乗り、都心に向かっていきます。話に聞いていた通りとても仲が良さそう。電車の中でも楽しそうにずっと話していました。

お嫁さんはそのまま会社に行きました。仕事があるというのは本当だったのでしょう。息子さんは実家に戻っていくようです。

ペアの探偵が「結婚7年が経過しても、あれだけ仲がいい夫婦と言うのは、何かがある」と直感。ひとまず、私がお嫁さんを、ペアの探偵が息子さんを尾行することにしたのです。

息子さんは、実家に行くと、2人の娘とともに公園へ。13時になると小学校の制服を着た女の子が「パパー」と来て、近所のテラスカフェへ。

3人の女の子の世話を慣れた手つきで行い、顔見知りのお母さんらしき人とあいさつをして、楽しそうにランチ。その後、図書館に行き自宅に戻った後、21時に再び3人の娘と出てきます。

息子さんは娘たちを実家に預け、再び新宿へ。

22時に入って行ったのは、新宿三丁目のビルの一室にある飲食店。入口の電気は消えていますが、中に複数の人がいることはドアの外からの話し声でもわかったとのこと。

【嫁の行動を追いかけた結果……次ページに続きます】

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