取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った、ゆり子さん(仮名・41歳)は、大学時代に知り合った男性と結婚、現在は大阪府内で2人暮らしをしています。ゆり子さん夫婦は40歳を機に子どもを諦めた過去があり、その中で表面上は優しい義母の本心を知ったと言います。
「夫が私の味方をしてくれたことが唯一の救いでした。子どもが欲しいと思い始めたのが遅かったこともあり、妊活を始めたときになかなかできない日々が続いたことですごく焦っていました。その中で義母の笑顔の裏に隠された本心に深く傷ついたことがあって……」
仕事人間の両親は放任主義。小さい頃は寂しかった記憶が多い
ゆり子さんは広島県出身で、両親と2歳下に妹のいる4人家族。両親は共働きでいつも忙しく、小さい頃は怒られたこともなければ構ってもらえた記憶もないと振り返ります。
「近くに父方の祖母の家があって、学校帰りは妹を連れていつも母親が迎えに来てくれるまで遊んでいた記憶があります。当時、祖母の家には雑種の白い大きな犬がいて、シロ(犬の名前)といつも一緒に遊んでいましたね。でも、小学校の低学年のときにシロが亡くなってしまって、同じぐらいの時期に祖母の家に行かなくなり、妹と2人きりでいつも母親の帰りを待っているようになりました。後から聞いた話なんですが、母親と祖母の折り合いが悪くなったことで私たちを預けなくなっていたみたいです。ずっと母親は仕事を辞めろと祖母から言われていたようだったんですが、逆に意地でも働き続けてやるってなったって(苦笑)。母親は少し気が強かったんですよね」
家で母親の帰りを待つ間にやっていたのは勉強。そのおかげもあって成績はとても良かったそうですが、両親から褒められた記憶はないとのこと。
「もちろんちゃんと育ててくれましたけど、基本は両親とも仕事がメインで忙しく、母親はそれに加えて家事でいっぱいいっぱいだったんだと思います。きっと逆に成績が悪かったとしても何も言われなかったんじゃないかな。私の友人にすごく厳しい母親がいたんですが、その子が過干渉だと親の愚痴を言う度に同調していたものの、少し羨ましかったことを覚えています」
【自分の家と夫の家が対照的に見えて、夫の家が羨ましかった。次ページに続きます】