取材・文/ふじのあやこ

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

今回お話を伺った、直子さん(仮名・39歳)は、35歳のときに結婚、現在は義実家に徒歩圏内の場所で旦那さまとの2人暮らしをしています。結婚して2年間は義実家で生活していたと言います。

「付き合っているときから夫はずっと実家暮らし。結婚が決まってから最初は新居を探していたんですが、義両親から一緒に暮らさないかと提案を受けて。何度もお会いしていた関係だったので、嫌だったけど断り切れず……。2人暮らしになった今でも、あのとき断っていればと受け入れてしまったことを後悔しています」

両親の古い考えはすべて姉が取り払ってくれた

直子さんは岡山県出身で、両親と4歳上に姉、3歳下に弟のいる5人家族。家族仲は良く、兄妹仲も良好。自分のしたいことに突き進める姉の影に隠れてやりたいことをやらせてもらったと振り返ります。

「姉は小さい頃から美容師になりたいという夢を持っていて、地元の学校を出た後は兵庫県の美容院に就職を決めて、実家を出て行きました。両親は2人とも岡山で生まれ育っているので子どもたちにも残ってほしい気持ちがあったみたいで、姉は専門学校から行きたい学校が大阪にあったものの反対されて断念。でも、就職先でも一度は反対されたのを押し切って上京しました。両親は姉と長期間に渡って揉めたことで寛大な心を持ってくれたのか、私のときは大学から関西に行かせてくれました。姉との同居を条件に、私は大阪の大学に進学できました」

卒業後は岡山に戻ってくるように両親から言われていたそうですが、就職先を兵庫県内に決めて残ることに成功します。そこにも姉の協力があったと言います。

「私はどうしても関西に残りたくて必死で就職活動を頑張りました。でも、両親はいつまで経ってもいい顔をしてくれなくて。なので、こちらも長期間をかけて、帰省するときには姉に何度も同行してもらって、一緒に説得してもらいました。姉はサービス業なので大型連休も基本仕事なんです。それを1日だけならと都合をつけてくれて。私が関西に残れたのは姉の協力があってこそでしたね」

【結婚の挨拶の場で同居を勧められる。次ページに続きます

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