取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った早貴さん(仮名・36歳)は20代で結婚と離婚を経験。現在は17歳下のまだ学生の妹と2人暮らしをしています。妹とは異父姉妹。早貴さんは生まれた頃から妹の面倒を見ており、娘のように大切な存在だと言います。
「お互い、両親のことをよく思っていません。義父は母のことを好きで結婚しただけで、私たちを母親のおまけにしか思っていないような人でした。そして母も私たちよりもそんな父が好きだったのでしょう」
私は祖母の代わりにはなれなかった
早貴さんは兵庫県出身で、3歳までは両親との3人家族。3歳になったばかりの頃に両親は離婚。実父の印象は何も残っていないそう。
「小さい頃の記憶は断片的に少しだけ残っていますが、その記憶の中に父親は一切いません。覚えているのは母親と定期的に様子を見に来てくれる祖母のことだけ。祖父は私が生まれる前に亡くなっていて、小学校に上がる前に祖母との3人暮らしが始まりました。祖母もまだ働いていたこともあって、お金で苦労した記憶はありません」
祖母が亡くなったのは早貴さんが中学2年生のとき。そして、3年生になってしばらくして、母親から「結婚したい相手がいる」と告げられます。
「母はそれまで男性の気配なんてまったくなかったのに、祖母が病気で亡くなってからは寂しかったのか、急にそんな風になって。私はやっと2人の暮らしに慣れてきた頃だったのに、私だけじゃ祖母がなくなった寂しさは埋められなかったんでしょうね……。
再婚したいと言われたときは驚きましたけど、母はまだ30代だったので仕方ないことなのかもと思いました。心の底では嫌だったけれど、もし反対して母が私よりその人のことを選んだらどうしようという思いがあって、素直に従いました。母とは大きな揉め事もなく仲良しだったんですけど、再婚したいということはその人のほうが上だということだと認識していたので」
【妹ができたことで「私だけ違う」という思いが強くなった。次ページに続きます】