新着記事

水晶彫りの酒器|水晶のような小窓からのぞく美酒を愛でつつ一献

活用しないともったいない! 自治体独自のサービスや「ふるさと納税」で離れて暮らす親を見守ろう

活用しないともったいない「見守りサービス」! 「自治体独自の活動」や「ふるさと納税」で離れて暮らす親を見守る方法

獣医さんに聞く、なぜ秋にこそペットの健康診断なのか

獣医さんに聞く、なぜ秋にこそペットの健康診断が必要なのか?

現代人の3人に1人が孤独死しやすい?

現代人の3人に1人が可能性あり!孤独死しやすい人の共通点とは?

尾戸焼の酒器セット|酒を愛する土佐人たちの宴を盛り上げる伝統の酒器

アクセサリーソケットを活用

車内でアロマテラピーから炊飯までできる、アクセサリーソケット活用術【彩りカーライフ~自分の人生をかろやかに走ろう~】

ダイエット

「食事制限ダイエット」で目標を達成した人が明かす成功の秘訣

【ビジネスの極意】現代のリーダーに必要な、心の知能指数「EQ」を知っていますか?

【ビジネスの極意】現代のリーダーに必要な、心の知能指数「EQ」を知っていますか?

イニシャル入りロックグラス|いつもの一杯を極上の一杯にするマイグラス

定年を迎えた男性の“ごはん問題”を解決|『定年ごはん』

定年を迎えた男性の“ごはん問題”を解決|定年ごはんの作り方

LINE公式アカウントでも記事を配信中

友だち追加

お気軽に友達追加してください

サライ本誌最新号(クリックで試し読み)

サライ7月号付録「筋トレチューブ」トレーニング動画公開中!

通販別冊『大人の逸品』最新号はこちら

ピックアップ記事

  1. 東寺
  2. 世界遺産の構成資産内にある旧五輪教会。傘を開いたようなコウモリ天井の下、イエスを抱いた聖ヨセフ(イエスの養父)が佇む。手前の聖体拝領台(柵)の意匠は大浦天主堂(長崎市・世界遺産)と共通。鳥の声と波の音が堂内にこだまする。

>>過去の記事へ

サライの通販

>>過去の記事へ

趣味・教養

「花婿さんには物理は教えましたが酒は教えませんでした」(朝永振一郎)【漱石と明治人のことば240】

sousekiKotobaBanner2
今年2017年は明治の文豪・夏目漱石の生誕150 年。漱石やその周辺、近代日本の出発点となる明治という時代を呼吸した人びとのことばを、一日一語、紹介していきます。

【今日のことば】
「花婿さんには物理は教えましたが、酒は教えませんでした。となりに座っている小柴君には酒は教えましたが、物理は教えませんでした」
--朝永振一郎

薫陶ということばがある。

薫は、香をたいてかおりをしみこませること。陶は、粘土を焼いて陶器をつくりあげること。そこから、師弟関係などで、徳を以て感化し影響を与え、すぐれた人間をつくり出すことを言う。学問のある特定の分野や技芸の習得よりも、全人格的な感化といった意味合いが強いだろう。

このことは実は、教育(学問)においてもっとも重要なことであり、かつ難しいことなのではないだろうか。夏目漱石も小説『野分』の中に、こんなふうに綴っている。

「学問は綱渡りや皿廻しとは違う。芸を覚えるのは末のことである。人間が出来上がるのが目的である」

漱石は「自分は教育者には向かない」などと呟いて、学校の教育現場を離れたが、その実、多くの門下生に人格的な感化をもたらしたという点において、もっとも本質的で、もっとも偉大な教育者のひとりだったと思えるのである。

掲出のことばは、明治生まれのノーベル賞物理学者・朝永振一郎が、教え子の結婚披露宴の祝辞の中で述べたもの。朝永の傍らの席には花婿の後輩である小柴昌俊さん(のちのノーベル物理学賞受賞者)がいて、座は仄(ほの)かな笑いに包まれる。朝永のスピーチは小柴さんをダシにしながら、花婿にちょっとだけ「花」を持たせている。

しかしながら、小柴さんも決して嫌な気持ちにはなっていない。いや、むしろ嬉しく誇らしい気も、少しあっただろう。だからこそ、自著『やればできる。』の中にこのエピソードを書きとどめている。私はこのスピーチのことばから、朝永・小柴という師弟間における「薫陶」ということを強く感じるのである。

小柴さんは一高在籍中に同校校長の哲学者・天野貞祐の紹介を受けて朝永の面識を得、何かと面倒を見てもらうようになった。朝永は京大卒、東京教育大の学長などをつとめていたのに対し、小柴さんは東大の物理学科に進学したため、直接に学問的な指導を受けることはなかった。

それでも、ウィスキーの小瓶を携えて一緒に旅行に出かけたり、教育大の学長室を訪ねて戸棚の中の隠しボトルのご相伴にあずかったりと、酒をまじえての私的な交流がずっと続いていたという。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。著書に『心を癒す漱石の手紙』(小学館文庫)『漱石「こころ」の言葉』(文春新書)『文士の逸品』(文藝春秋)『ウイスキー粋人列伝』(文春新書)『夏目漱石 100の言葉』(監修/宝島社)などがある。2016年には、『サライ.jp』で夏目漱石の日々の事跡を描く「日めくり漱石」を年間連載した。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

関連記事

  1. 「秋立つや一巻の書の読み残し」(夏目漱石)【漱石と明治人のことば…
  2. 「年の暮れには追憶を、年の初めには希望を」(幸田露伴)【漱石と明…
  3. 「見果てねど はた見あきねど我が夢は 四十余年の夢多き日々」(滝…
  4. 「子供のために一流の文学者が進んで執筆しなければ嘘だ」(鈴木三重…
  5. 最晩年の谷崎潤一郎が愛する風景を詠んだ歌【漱石と明治人のことば3…
PAGE TOP