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わが国初のアニメーション作家のひとりでもある「ペール北山」こと北山清太郎(1888-1945)という人物を手がかりに、大正期の日本における西洋美術への熱狂ぶりを体感できる異色の展覧会が、東京駅にある東京ステーションギャラリーで開催されています。(~11月6日まで)

萬鉄五郎《女の顔(ボアの女)》〔1912(大正1)年 岩手県立美術館蔵〕

萬鉄五郎《女の顔(ボアの女)》〔1912(大正1)年 岩手県立美術館蔵〕

明治末から大正初期にかけて、日本では、印象派からポスト印象派、未来派、キュビスム、20世紀のアヴァンギャルドまでのヨーロッパ美術への関心が一気に高まりました。

そんな中、登場した人物が、北山清太郎です。北山は、美術雑誌『現代の洋画』を編集・刊行して西洋美術を紹介していったり、岸田劉生や木村荘八ら若き洋画家たちの活動を支援したり、雑誌等を通じて同時代の画家たちに活動の場を提供したりするなどして、当時の日本洋画界の発展に努めました。

そして後には、日本におけるアニメーション草創期の重要な担い手ともなりました。

動き出す!絵画展・北山清太郎

自宅にてアニメーション原画制作中の北山清太郎(大正8年頃)

『現代の洋画』第2号〔和歌山県立近代美術館蔵〕

『現代の洋画』第2号〔和歌山県立近代美術館蔵〕

本展では、日本の洋画の裾野を広げた知られざるパトロン・北山清太郎という人物を手がかりに、モネ、ゴッホ、ピカソなど当時憧れの対象となった西洋美術の名作、それに影響を受けて展開された日本の作家による油彩、彫刻など約130点と資料類を展示。もって大正期の日本における西洋美術への熱狂と、近代日本美術の動向を概観します。

フィンセント・ファン・ゴッホ《雪原で薪を集める人々》〔1884年 吉野石膏株式会社蔵(山形美術館に寄託)〕

フィンセント・ファン・ゴッホ《雪原で薪を集める人々》〔1884年 吉野石膏株式会社蔵(山形美術館に寄託)〕

本展の見どころを、東京ステーションギャラリーの学芸室長、田中晴子さんにうかがいました。

「明治末から大正初期にかけ、日本の美術界には、西洋美術の情報を欲する動き、それに応じて新しい絵画を作り出す動きがありました。

新しく生まれる絵画を歓迎し、支えた存在として、北山清太郎がいます。画家たちはゴッホを支えたパリの画材商ペール・タンギー(ペール=おやじ)になぞらえて、彼を“ペール北山”と呼びました。

本展は、激動期に注目を浴びた萬鉄五郎や岸田劉生、木村荘八といった作家たちによる作品や、西洋美術の大家による作品と併せて、約130点を展示いたします」

草創期の日本アニメの貴重な映像も観ることができます。ぜひ会場にてご覧ください。

動き出す!絵画 ペール北山の夢 -モネ、ゴッホ、ピカソらと大正の若き洋画家たち-
■会期/2016年9月17日(土)~11月6日(日)会期中一部展示替えあり
■会場/東京ステーションギャラリー
■住所/東京都千代田区丸の内1-9-1
■電話番号/03・3212・2485
■料金/一般1000(800)円 高校・大学生800(600)円 ( )内は20名以上の団体料金 ※中学生以下無料、障がい者手帳所持者は100円引(介護者1名は無料)
■開館時間/10時から18時まで、金曜日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
■休館日/月曜日(ただし9月19日、10月10日は開館)、9月20日(火)、10月11日(火)
■アクセス/JR東京駅丸の内北口改札前(東京駅丸の内赤煉瓦駅舎内)

取材・文/池田充枝
1989年「サライ」の創刊時より歴史資料の調査や展覧会情報を中心にフリーランスで「サライ」の取材・執筆に携る。

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