無垢材を大胆に使った手作りの家具は、物はよいが値段も高くなりがち。それに対して、静岡県浜松市の豊岡クラフトの家具作りは、木材のよさの伝わる家具を廉価で適正量生産するという、木製家具に求められる要求に応えるものだ。
完全に手作りの家具が少量生産だとすれば、加工の要所を機械で行なう、いわば「中量生産」といえる製造方法を採用。これを昭和44年(1969)の創業から続けている。
機械の導入とともに、中量生産を可能にするもうひとつの要因は、仕入れる無垢材を3種類の規格板材に限定し、加工の工程を簡素化した点にある。少ない種類の板材しか使わないとなれば、デザインも限定されそうだが、実際にはそんなことはない。
例えばこの踏み台には、幅は異なるが同じ厚さの板材しか使っていない。それでも、常に部屋に出しておいてもいいほどの美しいデザインが実現できている。
限られた種類の材料で、豊かなデザインが生まれるのは、やはり工夫を信条とする職人気質の賜物だろう。
がっしりとした頑丈な作りで、床の上でしっかりと安定するこの踏み台。「用の美」を体現したような逸品だ。
商品名/美しい踏み台
メーカー名/豊岡クラフト
価 格(消費税8%込み)/15,120円