私はフェイスブックで「東京とんかつ会議」を毎月隔週でアップしています。3人の仲間と東京のとんかつを食べ歩き、それぞれに評価するというガイドで、すでに97回を数えています。
その中で十指に入れたいとんかつ専門店の1軒が荻窪にある「たつみ亭」です。
昼は1,000円ほどのランチでとんかつ定食がいただけるのですが、私の一番のお気に入りは300gほどのボリュームがある「上かつ」です。これを一人でペロリと平らげる若者もいますが、私はいつも人と連れ立って出かけたときにいただきます。
大きなかつなので、揚げる時間も20分以上かかります。そこで、まず、ポテトサラダと串カツを注文し、ビールを飲みながらいただきます。「上かつ」の前菜と言ったところです。
ポテトサラダも串カツもひと味違う出来栄えで、「上かつ」の期待がいやがうえにも高まります。
いよいよ「上かつ」の登場。肉質はジューシーで甘く、香ばしく揚がった衣と見事なマッチングを見せてくれます。頬張れば、とんかつの醍醐味、ここに極まれりと言った感じです。
「とんかつ」が和食である以上、御飯、味噌汁、お新香がとても大切です。ご主人が新潟出身ということもあって、御飯の美味しさはピカ一です。
東京浅草生まれで下町育ちの私は、美味しいとんかつを食べるたびに、少年時代を思い出します。68歳になっても「熱烈とんかつ少年」の心意気と情熱的な胃袋は変わりません。
【たつみ亭】
住所/杉並区上荻1-10-4
電話/03-3391-7812
営業時間/11:30~14:30 17:00~21:00(売り切れ次第閉店)
定休日/不定休
文/山本益博
料理評論家・落語評論家。1948年、東京生まれ。大学の卒論「桂文楽の世界」がそのまま出版され、評論家としての仕事をスタート。TV「花王名人劇場」(関西テレビ系列)のプロデューサーを務めた後、料理中心の評論活動に入る。
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