里親探しは「娘を嫁がせる親の気持ち」で
母さんの里親探しの方法はこうだ。
まず、保護した子猫に病気がないかなどを調べるため、動物病院へ。諸々の検査をして健康状態を調べ、月齢に応じてワクチン接種や駆虫をさせる。
その後、こまめなお世話をし、時期がきたら里親募集を開始。まずは知人や過去に里親さんになってくれた方たちに、猫を飼いたい人が周りにいないかを聞き、条件に合う人や家族がいれば面接する。そういった人や家族がいなければ、インターネットの里親募集サイトを活用。多数ある申し込みの中から、条件に合いそうな人にコンタクトをとる。
メールのやり取りなどで話が進めば、里親募集中の保護猫を連れて先方のお宅訪問をし、直接会って話をする。ペット不可のマンションではないか、脱走しやすいような構造ではないか、猫のトイレ掃除をはじめちゃんとお世話できる人なのか、家族にアレルギーの人はいないか、猫が病気になったり怪我をしたりしたら動物病院に連れて行ってくれるか、万が一本人に何かあっても猫を引き取ってくれる人はいるのか、家族として生涯大事にしてくれるのか……などなど、住環境を見ながら、直接話をするのだ。「娘を嫁がせる親の気持ち」といえばわかりやすい。
メールや電話でのやり取りでは好印象だったのに、実際に会ってみたら互いに認識が違うようだ、といったこともままある。そうやって丁寧にお見合いをするのは容易なことではないが、安易に譲渡するわけにはいかない。保護猫の命と幸せがかかっているのだから。譲渡された猫を虐待したり殺傷したりするといったニュースがあとを絶たない悲しい現実がある。母さんは真剣だ。