独自の趣味で人生を楽しんでいる方を紹介する【休日達人】。第1回は「一人茶会」を趣味にする駒澤大学教授の山口浩さんです。
■「自分が楽しむため」の一人茶会
茶道と聞いて、どんなイメージが浮かぶだろうか。日本の伝統文化、千利休、厳格、流派、作法、お点前……など、人によってそのイメージもさまざまだろう。
茶道は「茶湯(ちゃとう)」や「茶の湯」とも呼ばれ、古くからお茶を楽しむために行なわれてきた。そして、千利休によって侘び茶が確立され、以後、さまざまな流派によって今日まで受け継がれてきている。
だがそんな正統的な茶道とは距離をおいて、独自の「一人茶会」を楽しむ休日達人がいる。駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部教授の山口浩さんだ。
「元々いろいろなお茶が好きだったんですが、茶道は敷居が高いし、正座をしなくちゃいけない、というのもあってずっと避けていたんです。でも、あるとき『給湯流茶道』という茶会に参加して、別に流派に従ったり、正座をしたりしなくてもいい茶道もあるんだと知って、やってみようかなと思いました。
とはいえ、茶道は基本的におもてなしの文化。もてなすお客さんがいて成り立つものなので、飲みたかったら誰かに点(た)ててもらわなくちゃいけない。ふだん、そういう相手を見つけるのはなかなか難しいし、いたらいたでその人の好みにも配慮しなきゃいけない。
でも、そんなことでお茶を楽しむ機会が減ったり、自分の好みでないお茶になったりしまうのはもったいない。それで、おもてなしをするのが茶道ならば、自分で自分をおもてなしすればいいんじゃないかと思ったのです」
山口さんの思いはただ「お茶をおいしく飲みたい」。それだけだ。茶道は作法を教えてくれるが、「おいしいお茶の点て方」についてはそれほど詳しく教えてくれるわけではないし、作法を守ったからおいしくなるとも限らない。もっと気軽にお茶を楽しめたらいいのに――という思いから一人茶会は始まった。
茶道を自己流で楽しむ発見をしたことで、山口さんにとっての「お茶を飲むこと」に何か変化はあったのだろうか。
「一人茶会を始めて2年ほど経ちますが、お茶を飲むということに関しては日常の習慣なので特に変わったことはありませんね。毎日コーヒーや紅茶、日本茶なども飲みますが、それと基本的には同じです。旅先でも自宅でも学校でもどこでも、お茶が飲みたいと思ったら、場所や時間は問いません。
ただ『茶会』と称する以上、お茶を点てて飲むことに対しては真剣に取り組みたい気持ちはあります。その日のテーマのようなものを決める日もありますし、今日みたいに気持ちいい初夏の日は、こうして公園でお茶を点てることもあります。まあピクニックみたいなものですが、『お茶を飲みながら季節の移り変わりを愛でる』という意識は明確にあります」
自己流で始めた一人茶会だが、同時に茶道の稽古にも通うようになったという。茶道の格式や堅苦しいことがイヤで始めた一人茶会だったはずが、なぜ改めて茶道も始めることになったのだろうか。