良き縁を運んでくれる、赤いオープンカーとオートバイ
一方、もうひとりの相棒であるオートバイにも変化がありました。それまで所有しいていたカワサキの『GPZ900R』、通称“ニンジャ”は、その重さが気になり、軽量のレーサーレプリカを購入すべく行きつけのオートバイショップに相談します。そこでたまたま(レーサーレプリカではないものの)カワサキの『ゼファー』が生産を終了すると聞き、かねてより乗ってみたかったこともあって、火の玉カラーの『ゼファー750RS』を購入しました。
ネイキッドスタイルのゼファーと敏郎さんの相性はとてもよく、気がつけば購入から11年間も乗り続けていました。しかし最近になって重さを持てあまし気味になり、もっと排気量の小さいオートバイへの乗り換えを検討します。するとオートバイショップの店長より「ゼファーは手放したら、もう二度と手に入らない」と説かれ、希少性と維持することの意義を再確認。体力の続く限りは所有し続ける決心を固めたそうです。
「NCとゼファーに乗ってから、友人が増えました。2台は不思議と、人との縁を運んでくれます。こうやってライターさんの取材を受け、その内容が記事になるのも2台のおかげですし。
知り合った人たちは、自動車やオートバイにも敬意をはらって接してくれる、本当に尊敬できる人たちばかりです」
今、ロードスターの助手席には奥様だけでなく、5歳になる孫娘さんも乗るようになったそうです。
「孫娘はオープンで走行していると上機嫌なんですけど、幌を閉めると途端に静かになって寝ちゃうんですよ。5歳の子供にもオープンの気持ちよさが分かるんですね」
敏郎さんがロードスターとゼファー、そして孫娘さんを溺愛する日々は、まだまだ続きそうです。
取材・文/糸井賢一(いといけんいち)
ゲーム雑誌の編集者からライターに転向し、自動車やゴルフ、自然科学等、多岐に渡るジャンルで活動する。またティーン向けノベルや児童書の執筆も手がける。