そしてスタンダードへ

そのうえでサラの歌唱を聴いてみると、まさしくこの楽曲が「スタンダード」として機能していることがよくわかります。つまり「素材として」の魅力ですね。

白人のオードリーと黒人のサラでは声質がまったく違います。さらっとあっさりしており、可憐なイメージのオードリーの声と、コクと粘りがあるサラの声ではどうしたって描きだす世界が違ってくるのは当然でしょう。加えてオードリーは、マンシーニが彼女向けに音域を狭く設定した譜面どおりに歌っていますが、当然のごとくサラは自由にメロディ・ラインを崩し、「自分の歌」にしているのですね。

率直にいってサラの歌唱は、小野リサがオリジナル、サントラとは違えど、彼女なりに「男と女」の世界をイメージさせてくれるような効果はもっていません。そもそもスタンダード・ナンバーは「素材」としての可能性が問われるのですから、それでまったく問題ないのですが、やはりマンシーニの力もなかなかのものなのです。映画のシーンとはまったく異なる世界で、この楽曲の魅力を「サラの歌唱を通して」私たちに伝えているのです。

サラの、マンシーニの、そしてオードリーの、それぞれの分野でのプロとしての凄さがこの1曲に集約されているのです!

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