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高村光太郎が雪深い山暮らしで愛用した長靴【文士の逸品No.08】

◎No.08:高村光太郎の長靴

高村光太郎の長靴(高村記念館蔵、撮影/高橋昌嗣)

文/矢島裕紀彦

胸に消ゆることなき妻・智恵子の俤(おもかげ)を抱いて、高村光太郎は岩手県花巻近郊の寒村に移住。独居し農耕自炊の生活に入った。昭和20年(1945)秋。智恵子没後7年、光太郎は数え63歳の老境に入っていた。

住まうは、粗末な鉱山の飯場小屋を移築したわずか7.5坪の陋屋(ろうおく)。屋根は杉皮葺き、周囲は粗壁に障子一重。みちのくの冬、吹雪の夜には夜具の肩に雪が降り積もった。光太郎はここで内省の時を重ね、『暗愚小伝』『智恵子抄その後』などの詩作品を編む。胸を蝕む病のため時に血を吐きながらの修行にも似た質素な生活は、十和田湖畔の彫刻「裸婦像」制作のため東京に帰るまで、7年に及んだ。

その間の農作業や雪深い山暮らしの中で光太郎が愛用した長靴が、花巻市の高村記念館に残されていた。13文半というのだから、およそ32.5センチ。大柄な体格、服も特注品を身につけていた光太郎には、既製の靴ではなかなか合わない。ある日、靴屋のショーウインドウに飾ってあったこの長靴を村人が発見。「何に使うのか」と訝(いぶか)る靴屋から買い求め、届けてくれた。それでも、指を少し縮めるようにして履いていたという。

黒色。ゴム製。どっしり威風さえ漂うその姿には、「僕の前に道はない/僕の後ろに道は出来る」(『道程』)と綴った若き日の光太郎の、傲慢なほどの覚悟と気概が重なって見える。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。『サライ.jp』で「日めくり漱石」「漱石と明治人のことば」を連載した。

写真/高橋昌嗣
1967年桑沢デザイン研究所 グラフィックデザイン科卒業後、フリーカメラマンとなる。雑誌のグラビア、書籍の表紙などエディトリアルを中心に従事する。

※この記事は、雑誌『文藝春秋』の1997年7月号から2001年9月号に連載され、2001年9月に単行本化された『文士の逸品』を基に、出版元の文藝春秋の了解・協力を得て再掲載したものです。

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