新着記事

猫と人は家族や友人のように親しくなれるのか 猫と人は友達になれるの?|猫と「楽しい時間」を過ごす方法 下図の(ア)は足長、(イ)は足囲を示しています 意外と知らない!靴のウィズ表記【快適に過ごせる靴との出会いvol.6】 40代以上が選ぶ! 応援していた80年代アイドルランキング 40代以上が選ぶ! 応援していた80年代アイドルランキング|3位は中山美穂、2位は小泉今日子、1位は? お洒落のポイントは眼鏡。その日の気分でかけかえる。手にしているのは『魔女の宅急便』の主人公キキの相棒、猫のジジのぬいぐるみ。 角野栄子さん(児童文学作家)「読書体験はものすごく大切。心の中に降り積もった言葉が、やがて生きる力になるのです」【サライ・インタビュー】 飼い主さんの想像以上に多い 誤飲事故は寒い今が危険 「うちの子〇〇を食べちゃったんです!」犬・猫の誤飲事故は冬が危険 |獣医が教える助けるために飼い主がすべきこと コミュニケーション 【ビジネスの極意】「最近の若者は……」という言う前に実践したい|部下のコミュニケーション能力を上げる方法 定番野菜で簡単減塩おかず2選 【管理栄養士が教える減塩レシピ】|栄養を逃さない一工夫! 定番野菜の簡単おかず2選 脂肪を制限すると脳卒中になりやすくなる!?【予防医療最前線】 脂肪を制限すると脳卒中になりやすくなる!?【予防医療最前線】 関ケ原 立花宗茂~関ヶ原の敗北から返り咲いた唯一無二の武人【にっぽん歴史夜話12】 娘のきもち22・その2 【娘のきもち】不妊治療でやっと授かった子供の病気は心をえぐられたような痛みだった。その痛みを両親は共有してくれた~その2~

サライ本誌最新号

ピックアップ記事

  1. 松本零士 不滅のアレグレット〈完全版〉

>>過去の記事へ

サライの通販

>>過去の記事へ

趣味・教養

田中角栄の母が故郷を離れる息子に伝えた“男の矜持”とは【漱石と明治人のことば182】

sousekiKotobaBanner2

今年2017年は明治の文豪・夏目漱石の生誕150 年。漱石やその周辺、近代日本の出発点となる明治という時代を呼吸した人びとのことばを、一日一語、紹介していきます。

【今日のことば】
「男は腹巻に必ず10円札1枚入れておきなさい。どこで事故があって死んでも無一文では笑われます」
--田中フメ

田中フメは典型的な「明治の母」だった。雪深い新潟で生まれ育った働き者で、まだ幼い息子が夜トイレに起きると、母のフメはいつも必ず何か仕事をしていたという。

フメが生まれたとき、親がつけた名前は本当は「ヒメ」だった。ところが、村役場に届け出たところ、役場の方で間違えて「フメ」にしてしまった。後年、このことを口にするとき、自ら「フメでよかった。ヒメなら大変なヒメだ」と言って笑っていた。

大正6年(1918)5月4日、フメは次男を産んだ。長男は夭逝してしまっていたため、実質的には長男となる息子だった。牛馬商をしていたフメの夫の角次は、この息子を角太郎と名づけようとした。だが、フメが「私の生まれた家の隣に『角太郎』という犬がいます」と反対した。フメのこのことばで、息子は角太郎でなく角栄と名づけられた。

フメは働き者でも、角次が事業に失敗したため、家は貧しかった。そのため、息子の角栄は尋常高等小学校を卒業すると、しばらく地元の土木派遣所で働き、15歳で上京した。東京では井上工業という土建会社で、住み込みで働くことになっていた。

このとき、故郷を離れる息子に対し、フメが10円札を渡しながら言ったのが掲出のことば。15歳の少年に、強い覚悟を促している。他に、こんなことも言い聞かせたという。

「世の中には働いてから休む人と、休んでから働く人がいる。お前は働いてから休む人になりなさい」

「人にお金を貸したらそれは忘れなさい。悪いことをしないと食べていけなくなったら、いつでも帰ってくるんだよ」

昭和47年(1972)7月、フメの息子の田中角栄は、自民党総裁選でライバルの福田赳夫を破り、新潟出身者として初の総理大臣となることが決まった。ことが決する少し前から、角栄の勝利を見越して、多くの支援者やマスコミ関係者が新潟の角栄の実家につめかけ、フメを取り囲んでいた。

テレビのブラウン管の中の角栄は、いつものことながら大汗をかいて、しきりに扇子で自分を仰いでいた。それを見ていたフメは、ふっと立ち上がった。そして、手にしたハンカチで、大映しになった画面の中の息子の顔を、そっと拭ったという。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。著書に『心を癒す漱石の手紙』(小学館文庫)『漱石「こころ」の言葉』(文春新書)『文士の逸品』(文藝春秋)『ウイスキー粋人列伝』(文春新書)『夏目漱石 100の言葉』(監修/宝島社)などがある。2016年には、『サライ.jp』で夏目漱石の日々の事跡を描く「日めくり漱石」を年間連載した。

himekurisoseki-3

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

関連記事

  1. 「秋立つや一巻の書の読み残し」(夏目漱石)【漱石と明治人のことば…
  2. 「年の暮れには追憶を、年の初めには希望を」(幸田露伴)【漱石と明…
  3. 「見果てねど はた見あきねど我が夢は 四十余年の夢多き日々」(滝…
  4. 「子供のために一流の文学者が進んで執筆しなければ嘘だ」(鈴木三重…
  5. 最晩年の谷崎潤一郎が愛する風景を詠んだ歌【漱石と明治人のことば3…
PAGE TOP