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ルネサンス2大巨頭の《素描》が華麗に競演!「レオナルド×ミケランジェロ」展

レオナルド・ダ・ヴィンチ《少女の頭部/<岩窟の聖母>の天使のための習作》〔1483-85年頃 トリノ王立図書館蔵〕(c)Torino,Biblioteca Reale

取材・文/池田充枝

14世紀から16世紀にかけて、古代ギリシャ・ローマの古典文芸復興をめざす運動としてイタリアで興った《ルネサンス》は、美術においては絵画や彫刻といった芸術分野で、“古代”を通して自然主義を研究することでした。「自然」をあるがままに再現するため、解剖学に基づいた人体の把握、遠近法に則った奥行きや立体感、陰影法に忠実な表現といった基本的な規則が遵守されました。

また、ルネサンス期では、「<自然>を母、<素描>を父として、<建築><彫刻><絵画>の3姉妹がいる」という関係が強調されていました。自然に則ってデッサンすることは、各芸術の基本中の基本でした。

15世紀イタリアで画家として才能を発揮し、建築、科学、解剖学の分野にまで関心を広げ「万能人」と呼ばれたレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)と、10代から頭角を現し「神のごとき」と称された天才彫刻家ミケランジェロ・ブオナローティ(1475-1564)の二人は、23歳という年齢差ながら、フィレンツェで同時期に活躍し、市民から「宿命のライバル」とみなされていました。

レオナルドもミケランジェロも、弟子や追随者たちに「画家はまず、優れた師匠の手になる素描を模写することに習熟しなければならない」(レオナルド)、「毎日デッサンしなさい」(ミケランジェロ)といった言葉を残しています。芸術の基本中の基本である素描(デッサン)は、それ自体が作品としての価値をもつほど重要なものでした。

そんなルネサンス2大巨匠の稀少な素描を見比べることのできる展覧会が、東京・丸の内の三菱一号館美術館で開かれています(〜2017年9月24日)。

ミケランジェロ・ブオナローティ《<レダと白鳥>の頭部のための習作》〔1530年頃 カーサ・ブオナローティ蔵〕(C)Associazion Culturale Metamorfosi and Fondazione Casa Buonarroti

本展は、芸術家の力量を示すうえで最も重要とされ、すべての創造の源である「素描」に秀でたレオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロとを対比する、日本で初めての展覧会です。素描のほかに油彩画、手稿、書簡など、トリノ王立図書館やカーサ・ブオナローティの所蔵品を中心にした約65点が一堂に会します。

本展の見どころを、三菱一号館美術館の展覧会広報、酒井英恵さんにうかがいました。

「レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ・ブオナローティ。イタリア・ルネサンスを彩った個性豊かな芸術家たちの中でも、この二人は別格の存在感を放っています。

同じ時代、同じ場所を生き、ライバルとして時に意識しあいながら互いの芸術を高めあいました。二人は共に、ルネサンス誕生の地であるフィレンツェで出会っています。特に、フィレンツェの政庁舎で《アンギアーリの戦い》と《カッシナの戦い》で壁画競作したことはよく知られています。その時に描かれたカルトン(原寸大下絵)の公開に立ち会った彫刻家チェッリーニは、それらを同時代の芸術家たちが手本とすべき「世界の学び舎であった」と評しています。

本展覧会では、この二人の芸術を、素描(ディゼーニョ:Disegno)を中心にご紹介します。このディゼーニョという言葉は、文字通りデッサンやドローイングを意味するだけでなく、まだ頭のなかにあるアイデアや構想、つまりデザインも意味していました。頭に浮かんだイメージが、素早く正確に形となって現れるのが素描であり、そのため素描には、みずみずしい形や、活き活きとした線が見られます。

今回、展覧会のメインビジュアルには「世界で最も美しい素描」と謳われるレオナルドの《少女の頭部/〈岩窟の聖母〉の天使のための習作》とミケランジェロによる《〈レダと白鳥〉の頭部のための習作》という素描を選びました。ご鑑賞頂く際は、比較しながら、画材の特性を活かしつつ最小限の筆致で人物の存在感を見事に描き出す両巨匠の卓越し素描の能力をご覧ください」

ルネサンスの2大巨匠のまたとない競演を、ぜひ会場でお楽しみください。

【レオナルド×ミケランジェロ展】
■会期:2017年6月17日(土)~9月24日(日)
■会場:三菱一号館美術館
■住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
■電話番号:03・5777・8600(ハローダイヤル)
■展覧会サイト:http://mimt.jp/lemi 
■開館時間:10時から18時まで、祝日を除く金曜・第2水曜・会期最終週平日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
■休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館)

取材・文/池田充枝

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