華麗なる世紀末パリを版画で実感!「美しき時代 ベル・エポック展」

取材・文/池田充枝

ベル・エポックとは、フランス語で「美しき時代」の意です。ヨーロッパで19世紀末から20世紀初頭、第一次世界大戦が始まるまでの、資本主義の発達のもとで大衆文化が花開き繁栄した時代のことを、大戦後に「古き良き時代」と言って懐かしんだ言葉です。

トゥールーズ=ロートレック《ディヴァン・ジャポネ》〔1893年 石版画〕

この時代の文化活動として一世を風靡したのが、1879年のブリュッセル万国博覧会でベルギーの建築家ヴァン=デ=ヴェルデが提唱した「アール・ヌーヴォー」(新芸術の意)で、建築のアントニオ・ガウディ、工芸のエミール・ガレなどが有名です。 工業化を背景に、人々が文明の進化を謳歌した時代でした。

そんなベル・エポック当時の世相を版画作品から概観する展覧会が、福井市美術館で開かれています(~2017年7月9日まで)。

本展では、ロートレックを中心とした画家たちが、同時代を象徴する女性の服装、大衆文化、風景、生活、風刺、広告などを大胆な構図や斬新な感覚によって表現した版画作品を中心に、水彩やデッサンなど約230点を紹介します。

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本展の見どころを、福井市美術館学芸員の河野泰久さんにうかがいました。

「今回の展覧会でとくに注目していただきたいのは、装飾版画作品集『エスタンプ・モデルヌ』の作品です。

これは、1897年5月から1899年4月までに発行された版画の作品集で、毎号4点の版画が付いており、すべてを購入すると100点の版画コレクションになるというもの。今回は、全点を一堂に展示します。

「エスタンプ・モデルヌ」のタイトルとおり、当時、活躍していた作家の作品を取り上げており、表紙には大人気のアルフォンス・ミュシャ(1860-1939)を起用し、しかも2号と6号にも彼の作品を収めるなど、人気作家をコンスタントに取り上げています。

アルフォンス・ミュシャ《「エスタンプ・モデルヌ」誌 サロメ》〔1897年 石版画〕

さらに、通常は普通紙使用の2000部を発行していましたが、150部だけ特別な紙をつかった限定版も発行しており、収集家の心をくすぐるような販売方法もしっかりと考えている点が面白いです。

展示作品からは、色鮮やかに表現された女性のファッションや当時のヨーロッパの生活や文化などを見ることができます。

また19世紀末のヨーロッパでは、パリを中心に日本美術が人気となり、印象派の画家達をはじめ、多くの若い作家達に感動とインスピレーションを与えました。これらの作品からも浮世絵などの日本美術の影響を見ることができます」

美しき時代の巴里(パリ)の息吹を感じる展覧会です。ぜひ足をお運びください。

【展覧会情報】
『版画にみる「美しき時代 ベル・エポック展」~ロートレックたちが描いた華麗なる巴里~』

■会期:2017年6月3日(土)~7月9日(日)
■会場:福井市美術館(アートラボふくい)
http://www.art.museum.city.fukui.fukui.jp
■住所:福井市下馬3-1111
■電話番号:0776・33・2990
■開館時間:9時から17時15分まで(入館は16時45分まで)
■休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日(日曜日を除く)

取材・文/池田充枝

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