「あれ? なんて漢字だったっけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努⼒をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶⼒の鍛錬につながるといわれています。
「脳トレ漢字」今回は、「食酒」をご紹介します。お酒を味わいながら漢字への造詣を深めてみてください。

「食酒」は何と読む?
「食酒」の読み方をご存じでしょうか?
正解は……
「けざけ」です。
『⼩学館デジタル⼤辞泉』では「食事のとき酒を飲むこと。また、その酒」とあります。いわゆる「食中酒」とほぼ同じ意味で使われる言葉です。もしかすると、日本酒好きの方や、こだわりの居酒屋さんなどで目にされたことがあるかもしれませんね。
「しょくしゅ」と読むこともありますが、その場合は「大酒を飲む」という意味で使われます。
「食酒」の由来
「食酒」という言葉そのものの明確な語源をたどるのは難しいのですが、この言葉が指し示す「食事とともに酒を楽しむ」という文化は、日本の食文化の歴史そのものと深く結びついています。
かつて、酒は神様への捧げ物であり、特別なハレの日の飲み物でした。その後、庶民の間にも広まるにつれて、日々の食事の傍らに置かれる存在へと変化していきます。
特に、江戸時代になると食文化が大いに発展し、各地で特色ある郷土料理が生まれました。それに合わせるように、その土地の水や米で造られた「地酒」が楽しまれるようになります。甘口、辛口、淡麗、濃醇……多様な味わいの酒が、それぞれの土地の料理の味を引き立て、また酒も料理によってその表情を変える。
まさに、日本版の「マリアージュ」の原型がそこにあったといえるでしょう。

世界が注目する「食中酒」としての日本酒
近年、日本酒は「SAKE」として世界中で大きな注目を集めています。その理由の一つが、「食中酒」としてのポテンシャルの高さです。
ワインがフレンチやイタリアンと相性がいいように、日本酒も和食との相性はいうまでもありません。しかし、その魅力は和食だけにとどまらないのです。
例えば、純米酒は、チーズや肉料理などの発酵食品や濃厚な味わいの料理とも驚くほどよく合いますし、フルーティーな香りの吟醸酒は、カルパッチョなどの魚介を使った洋食とも相性抜群です。
コロナ禍を経て、私たちのライフスタイルも大きく変化し、「家飲み」の質を重視する方が増えました。今宵は少し奮発して、おいしいお酒で「食酒」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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今回の「食酒」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 美味しい食事とお酒は、人の心を和ませ、会話を弾ませる不思議な力を持っていますね。
来週もお楽しみに。
●執筆/武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com










