「あれ? なんて漢字だったっけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努⼒をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶⼒の鍛錬につながると⾔われています。
今回の「脳トレ漢字」は、「撒く」をご紹介します。よく耳にする言葉ですが、漢字で表記されると意外と読めないですね。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。

「撒く」とは何とよむ?
「撒く」の読み方をご存知でしょうか? 「はく」ではなく……
正解は……
「まく」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「広い範囲に細かく振るようにして散らす。散布する。ばらまく。」「散らして、大勢に行き渡らせる。」と説明されています。「地面に水を撒く」「土俵に塩を撒く」などのように使われます。
また、「噂話などを周囲に広める」「連れの者などの目をくらます」などの意味で使われることもあるそうです。
「撒く」の漢字の由来は?
「撒」という漢字は「さん」と読むこともでき、「ばらまく」「振りかける」という意味があるそうです。そのため、「撒水(さんすい/さっすい)」「撒布(さんぷ/さっぷ)」などのように、「撒」が使われている語彙は「ばらまく」という意味を持っていると考えられます。
また、「撒」が「散」と表記されることも多いです。
「撒く」と「蒔く」の違い

「撒く」と区別しづらいものとして、「蒔く」が挙げられます。こちらも同じく「まく」と読みますが、いまいち違いが分かりにくいですね。
どちらも、「まき散らす」「散布する」という意味がありますが、「撒く」は「広範囲にばらまく」「周囲に広める」という意味があるのに対し、「蒔く」は「植物の種子などを土にまく」「埋める」という意味として使われています。
また、「蒔く」には「ふりかける」という意味も含まれるため、金属粉や色粉を付着させて作る漆工芸のことを「蒔絵(まきえ)」と表記します。「撒く」と「蒔く」は語源が同じですが、それぞれの意味や程度は微妙に異なっているので、使用する際には注意したいですね。
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いかがでしたか? 今回の「撒く」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 「指す」と「挿す」や「聞く」と「聴く」など、読み方は同じでも漢字が変わることで微妙にニュアンスが異なってくる言葉はたくさんあります。
改めて、日本語の奥深さを感じることができますね。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB
参考資料/『デジタル大辞泉』(小学館)
『日本国語大辞典』(小学館)
『日本大百科全書』(小学館)
