旅先や映画などで耳にしたことはあるけれど、ぼんやりとしか意味がわからない表現ってありますよね。雰囲気で大体の意味はつかめても、自分から発するまでにはなかなか至らない。そんな表現を実際に使っていただけるように、ご紹介できればと思います。

さて、今回ご紹介するのは “Help yourself.”です。

目次
“Help yourself.” の意味とは?
“help” はどう使われる?
“help” の意外な表情
最後に

“Help yourself.” の意味とは?

“Help yourself.” を直訳すると、“help” は(助ける)、 “yourself” は(あなた自身)ですが、そこから転じて…、

正解は……
目の前にあるものを自分で好きに取って使ったり、食べたりしていいですよ。

という意味になります。

この表現のあとに、「to」をつけて “Help yourself to some cake.”(ケーキをご自由にどうぞ。)のように使われることもよくあります。

例文
A: “Can I have this one?”
(A: これ、もらっていい?)

B: “Sure! Help yourself!”
(B: もちろん、どうぞ。)

飲み物や食べ物以外の場合もあります。

例文
“Help yourself to some brochure. ”
(ご自由にパンフレットをお持ちください。)

“help” はどう使われる?

“help” は広く使われている動詞のひとつです。ここではよく使われる “help” の使い方を5つご紹介しましょう。

1. 困っている人を助ける(助けを求める/手伝う)

例文
1. “Can you help me with my homework? ”
(宿題手伝ってくれる?)

2. “Let me help you with those bags.”
(そのカバン、持つのを手伝うよ。)

2. 店員やサービス業での接客

“Can I help you?” は定番フレーズ。お店や電話の対応などでよく使われます。

例文
“Can I help you find something?”
(何かお探しですか?)

3. 感謝やお礼のやりとり

手伝ってもらった後に。

例文
1. “Thank you for your help.”
(手伝ってくれてありがとう。)

2. “I’m glad I could help.”
(助けになれてよかった。)

4. 申し出や丁寧な提案

相手を気遣う表現として使われます。

例文
1. “Would you like me to help you with that?”
(それ、手伝いましょうか?)

2. “Let me know if I can help in any way.”
(何かできることがあれば言ってね。)

5. 心理的・感情的に支えるとき

物理的な手伝いだけでなく、アドバイスや励ますときにも使われます。

例文
1. “Talking to her really helped me feel better. ”
(彼女と話して元気が出た。)

2. “Therapy has helped him a lot. ”
(カウンセリングは彼にとってとても役立っている。)

“help”の意外な表情

“help” という単語は、ふつう「助ける」「手伝う」といった意味で知られています。しかし、意外にも、否定的な意味合いや、皮肉を込めて使われることもあります。

例えば “help oneself” という表現。もともとは「ご自由にどうぞ」という意味ですが、状況によっては「勝手に取る」「無断で手を出す」といったニュアンスを持つこともあります。

例文
“He helped himself to the last piece of pie.”
(彼は最後のパイを勝手に取ったよ。)

こうした使い方では、不快感や怒りが込められていることも。

“Wow. He just helped himself to my lunch. Didn’t even ask. Who does that?”
(は? 彼、私のランチを勝手に食べたのよ。何の断りもなく。そんなこと普通する?)

このように、基本の動詞の “help” は、使い方によってさまざまな感情やニュアンスを込められる単語です。

最後に

以前、海外の美術館を訪れたとき、 “Help yourself to inspiration” (ひらめきを、どうぞご自由にお持ちください) と書かれた小さなバスケットを見かけたことがあります。中には、芸術家のことばがプリントされ、来館者が手に取って持ち帰ることができるようになっていました。観る人もまた作品の一部として参加し、関わることができるという趣向です。

芸術家、音楽家、平和運動活動家であるオノ・ヨーコの作品《カット・ピース》((1964年) もまた、観客の参加によって完成する作品です。彼女が座る前で、観客はハサミを使い、彼女の衣服を少しずつ切り取っていきます。その行為は、女性の身体が社会の中でどのように見られ、扱われているのかを浮かび上がらせると同時に、「切る」ことを託された人の内面や責任を問いかけます。そして、言葉を使わないやりとりで、私たちにコミュニケーションの在り方を深く考えさせるものでもあります。

オノ・ヨーコは、この作品を「世界平和への希望」と語りました。彼女の作品は、関わるという勇気、自ら選び取る意志、そして他者への思いやりを、私たちに問いかけています。

“Help yourself.”(ご自由にどうぞ)という言葉には、優しさや勇気、そして人とのつながりなど、思っていた以上にたくさんの意味が込められているのだと、あらためて感じました。

次回もお楽しみに!

●執筆/池上カノ

日々の暮らしやアートなどをトピックとして取り上げ、 対話やコンテンツに重点をおく英語学習を提案。『英語教室』主宰。  京都祇園にある建仁寺塔頭両足院をベースに、ひとつのテーマについて英語で語りあう『うごく哲学』を対面とオンラインで定期開催。その他、他言語を通して、それぞれが自分と出会っていく楽しさや喜びを体感できるワークショップやイベントを多数企画。
インスタグラム

●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com

 

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