ライターI(以下I):『光る君へ』第43回では、三条天皇(演・木村達成)と藤原道長(演・柄本佑)の厳しいやり取りが注目されました。それだけでも神経をすり減らす感じかと思うのですが、家に帰ったら帰ったで、正妻源倫子(演・黒木華)からも神経をすり減らすような「口撃」を受けました。
編集者A(以下A):頼通(演・渡邊圭祐)と隆姫女王(演・田中日奈子)の間に子ができないという話題からの流れで、倫子が「わたしは今まで殿御の愛を一心に受けることこそが女の幸せと思って生きてまいりました。されど今は違います」と道長にモノ申します。
I:どぎまぎする場面でした。「わたしは殿に愛されていない」とまで言いだしました。「わたしでもない、明子さまでもない。殿が心から愛でておられる女がどこぞにおるのだと疑って苦しいこともございましたけれど、いまはそのことはどうでもよいと思っております」と、道長を追い込んでいきます。
A:単純にドラマとして面白いのですが、職場でも追い込まれ、家に帰っても追い込まれる。気の休まる場所もない道長の境遇に、「権力者の孤独」を見たという人も多いのではないでしょうか。
I:私は、倫子の問いかけに「道長さん、否定しないの?」って思いながら、ドキドキしてしまいました。道長と倫子の間には6人の子が生まれ、彰子(演・見上愛)と姸子(演・倉沢杏菜)は帝の后となりました。頼通以下男子も上級貴族として地歩を築いています。はたからみれば倫子も幸せの絶頂のように見えるのですが、どうも葛藤があるようでした。
【久しぶりの為時に思うこと。次ページに続きます】