福田平八郎は、大分県生まれ。18歳の時に画家を志し京都に出て、京都市立美術工芸学校、京都市立絵画専門学校に学びます。卒業後は、1919(大正8)年に帝展に初入選、2年後には特選を受賞し、5年後には審査員を務めるなど、官展で目覚ましい活躍をみせました。
大正期は、モティーフを入念に観察し、写実的に表した作品を制作していましたが、昭和に入ると画風が大きく変化し、意表を突く大胆な構図のもと、モティーフを鮮やかな色と簡潔なフォルムで表現する独自のスタイルを確立しました。
山種美術館で開催の「没後50年記念 福田平八郎×琳派」展は、初期から晩年までの代表作が集結する展覧会です。(9月29日~12月8日)
本展の見どころを、山種美術館の学芸員、髙島千広さんにうかがいました。
「斬新な色と形を追求した日本画家・福田平八郎(1892-1974)。当館では、没後50年を記念し、平八郎の画業をたどる特別展を12年ぶりに開催します。
本展では、徹底した細密描写により写実を極めた大正期の代表作の一つ《牡丹》(山種美術館蔵)、造形の特徴を見事に捉えた筍とデザイン的な竹の葉が融合した《筍》、丸みを帯びた餅と直線的な形の折り鶴との対比が見どころの《紅白餅三鶴》など、各時期の作風がよく表れた優品の数々をご紹介します。多種多様なスタイルをお楽しみいただきながら、平八郎の画業の変遷をご覧ください。
また、平八郎に影響を与えた古典として、琳派にも着目します。デザインセンスが光る伝 俵屋宗達《槙楓図》、装飾的な画面構成と緻密な描写を融合させた酒井抱一《秋草鶉図》【重要美術品】をはじめ、平八郎も愛した琳派の造形の多彩な魅力をご堪能ください。
自身の作風を「写実を基本にした装飾画」と語った近代の福田平八郎と、意匠性や装飾性に富んだ江戸時代の琳派。二つの芸術世界が時空を超えて交差する特別な機会をお楽しみいただければ幸いです」
福田作品と琳派の名品が並ぶ、一度で二度楽しめる展覧会です。ぜひ会場でご堪能ください。
【開催要項】
特別展 没後50年記念 福田平八郎×琳派
会期:2024年9月29日(日)~12月8日(日)
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
公式サイト:https://www.yamatane-museum.jp/
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日(ただし10月14日、11月4日は開館)、10月15日(火)、11月5日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝