惟規が六位蔵人に転身

藤式部の弟惟規(演・高杉真宙)が六位蔵人に。(C)NHK

I:道長が、藤式部(まひろ/演・吉高由里子)に対して、弟の惟規(演・高杉真宙)の職について質問します。当時惟規は、宮中の事務を担う中務省(なかつかさしょう)で内記を務めていたわけですが、六位の蔵人に任じられます。中務省内記から六位の蔵人への「異動」は史実なのですが、それが道長の口利きの賜物という設定なのが肝ですね。

I:道長の口利きだったとしても、まったくその設定に違和感ないのがすごいですよね。むしろ劇中の設定の方がリアルに感じます。

A:一見、「六位蔵人」というのはイマイチのような感じもしますが、天皇のお側に仕える、当時の出世コース。そもそも中務省の内記も優秀でなければ就けないポストです。

I:ところで、道長の正妻倫子(演・黒木華)が出産。当時すでに44歳。現代でも高齢出産といわれる年齢ですが、第六子を産みました。道長と倫子もなんだかんだと円満だったのでしょうね。

曲水の宴

雅な曲水の宴。(C)NHK

I:道長と倫子の屋敷である土御門殿で雅に曲水の宴(ごくすいのうたげ)が催されました。小さな川に盃を流し、自分の前に盃が通り過ぎるまでの間に漢詩などの詩歌を詠じ、盃の酒を飲み干して、次に回すというものです。

A:現在でも、いろいろな寺社で再現されることのある曲水の宴ですが、平泉の毛越寺跡で催される曲水の宴がありますね(毎年5月第4日曜日)。

I:平泉といえば、劇中でも登場している藤原隆家の子孫である藤原基成が有名ですね。

A:1993年の大河ドラマ『炎立つ』で林隆三さんが演じていましたね。陸奥守として下向した後に奥州藤原氏との関係を深めて、藤原秀衡の岳父となり、最後の当主泰衡の義父ということになります。この平泉から車で30~40分の奥州市に、『光る君へ』のロケも行なわれた「えさし藤原の郷」がありますね。

I:曲水の宴はもともと中国から伝わった催しですが、日本では上巳の節句(雛祭)の際に水によって祓い清める風習と習合し、3月3日に行なわれるようになりました。今でも地方に残る流し雛はここから来ています。今日では岩手県平泉の毛越寺以外でも京都の北野天満宮(3月上旬)、上賀茂神社(4月中旬)、城南宮(4月末)などで行なわれますので、興味のある人は見に行ってみてください。平安貴族のような装束が小川縁に座って和歌を詠む、なんとも風情のある催しです。『源氏物語』でも光源氏が自身の邸宅であった城南離宮で3月3日の曲水の宴について触れています。城南宮の曲水宴はそんな由来から催しているようですね。

『源氏物語』は暴露本? 次ページに続きます

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