歳をとるというのは厄介なものですよね。周りからは、年相応に物知りなどと思われたりして…。うっかり漢字の読み方なんか間違えたりしますと、とっても恥ずかしい思いをするなんてこともあるかもしれません。
脳の方は、若い時のようにパッパと記憶中枢からひっぱり出せなくなってきているかもしれませんが、「歳をとってきちゃって、なかなか思い出せなくて……」なんて言い訳をするようでは、サライ世代の沽券に関わる?
「脳トレ漢字」第215回は、「呟く」をご紹介します。前後に文章があれば推測しながら読めますが、この単語だけを見せられると途端に難しく感じられるかもしれません。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「呟く」とは何と読む?
「呟く」の読み方をご存知でしょうか? 「げんく」ではなく……
正解は……
「つぶやく」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「1小さい声でひとりごとを言う。2ツイートする。」と説明されています。「口の中でぶつぶつと呟く」などというように使われることが多いでしょう。
「つぶやく」のほか、「つぶめく」とも読みます。
「呟く」の漢字の由来は?
「呟く」の成り立ちを見ていきます。まず、「呟」という漢字は「くちの形」をかたどる部首「くちへん」が使われています。声を発することや口を使う動作を表すことが多いでしょう。
次に、右側の「玄」という漢字は、奥深いことや静かさを表す意味を持ちます。また、「玄」は「亠」(物を覆う形)と「幺」(かすかなこと)を組み合わせた会意文字です。「玄」は、かすかなものをおおうことから、「暗い」「よく見えない」という意味を持つようになりました。
これらの要素が組み合わさった「呟」は、「かすかに声を発する」「ひそやかに独り言を言う」という意味を持つようになったと考えられます。
「くちへん」の漢字「叶」「吉」に関する興味深い成り立ち
「くちへん」を持つ漢字は、単に「口」に関連するだけでなく、その背景には深い意味や歴史が隠されていることもあります。今回は、その中から「叶」「吉」という漢字に焦点を当ててご紹介しましょう。
まずは、「叶」という漢字。この漢字は「口」と「十」で構成されていますが、この「十」は多くの人々を象徴しています。「叶」は「十人の口が合う」、つまりたくさんの人の意見が一致するということから、「叶う」を示すようになりました。
現代では「夢が叶う」といった使い方をしますが、その背景には、多くの人の思いが一つにまとまるという深い意味が込められているのです。
次に「吉」という漢字を見てみましょう。「吉」は「士」と「口」から成り立つ、「くちへん」の漢字です。「士」は学識や才徳を持つ立派な人物を表しています。そうした人物の「口」から出る言葉は、善良であると考えられていました。そのため、「吉」という漢字には「めでたい」や「幸い」といった意味が含まれているのです。
また、一説には「士」は物のふたの形を表しているというものもあります。口をふたで押さえることから、中が充実している状態を表しているとも言われています。
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いかがでしたか? 今回の「呟く」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 普段何気なく使っている言葉にも、実は多くの人々の思いや、文化の蓄積が込められていることがわかりました。
そうしたことに気づくと、漢字の世界が一層興味深く感じられるものですね。
文/京都メディアライン
HP:https://kyotomedialine.com FB
参考資料/
『デジタル大辞泉』(小学館)
『新選漢和辞典 Web版』(小学館)