「あれ? なんて漢字だったっけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努⼒をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶⼒の鍛錬につながると⾔われています。

「脳トレ漢字」第211回は、「潔い」をご紹介します。潔い姿勢は、日本では古くから美徳とされてきました。「潔」という漢字から、読みを類推することができるかもしれません。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。

「潔い」とは何とよむ?

「潔い」の読み方をご存知でしょうか? 「きよい」とも読みますが……

正解は……
「いさぎよい」です。

『小学館デジタル大辞泉』では、「事物・風景などが清らかである。」「思い切りがよい。」「道に反するところがない。」と説明されています。「潔く身を引いた。」「潔い態度に心を打たれた。」などのように使われることが多く、「正々堂々」や「高潔」などが類義語として挙げられます。

九州地方の一部地域では、「いさぎいい」「いさぎい」と読まれることもあるそうです。

「潔い」の漢字の由来は?

「清潔」「潔白」などの表現にも使われている、「潔」。絜の部分が、「けつ」という音を表し、清浄であるという意味を持ちます。そこに「さんずい」がつくことで、水で清める様子を表しているそうです。そのため、「潔」が使われる表現の多くが、「清らか」「正しい」という意味を持っていると言えます。

三舟の一人・高橋泥舟の名言

皆さまは、「潔い人」と聞いて誰を思い浮かべますか? 潔い姿勢が評価されている人物は、日本の歴史上でも数多く存在しますが、その中でも幕末の志士は外せませんね。

激動の時代の中で、命を賭して戦い抜いた志士たち。最後の将軍・徳川慶喜の護衛を務めた幕臣・高橋泥舟(でいしゅう)も、その一人と言えます。

槍術の名人と称された泥舟は、22歳にして講武所(幕府が設置した武芸修練所)の教授となり、文久3年(1863)には、新徴組(しんちょうぐみ、幕府が組織した浪士組)の統率を任せられました。

「鳥羽・伏見の戦い」で新政府軍に敗北を喫してからは、慶喜に恭順説を説いた泥舟。勝海舟・山岡鉄舟とともに「幕末の三舟」と呼ばれ、その聡明さを高く評価されています。そんな泥舟は、「欲深き人の心と降る雪は、積もるにつれて道を失う」という名言を残しました。

欲望は誰にでもあるものですが、それが行き過ぎるとかえって良くない結果を招いてしまうかもしれません。この名言からは、潔く実直な泥舟の人柄を窺うことができます。

***

いかがでしたか? 今回の「潔い」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 高橋泥舟は、幕臣としての役目を終えた後、仕官せずに東京に隠棲したそうです。新しい時代の幕開けを陰ながら支え、静かに去っていった泥舟の生き様は、美徳とされてきた潔い生き方そのものだったと言えるでしょう。

文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB

参考資料/『デジタル大辞泉』(小学館)
『日本国語大辞典』(小学館)
『日本大百科全書』(小学館)

 

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