最近、パソコンやスマートフォンの普及により、⾃ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか「読める、けれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く⼒が衰えたと実感することもあります。
脳トレ漢字の記事を読みながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能⼒を⾼く保つことにお役⽴てください。
「脳トレ漢字」第208回は、「閃く」をご紹介します。誰もが知る偉人の名言にも使われていますが、漢字になると一気に難しくなりますね。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「閃く」とは何とよむ?
「閃く」の読み方をご存知でしょうか? 「せんく」ではなく……
正解は……
「ひらめく」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「一瞬するどく光る。」「旗などがひらひらと揺れ動く。また、火が揺れ動く。」「考えや思いが瞬間的に思い浮かぶ。」と説明されています。「旗が閃く」「大雨になり、雷光が閃いた」などのように使われる、「閃く」。何か名案を思いついた時にも、よく使われますね。
かつては、光が鋭くひかることの他に、落ち着きなく動き回ることを「閃(ひろめ)く」と表現していたそうです。また、「閃光」や「一閃」などの言葉にも使われている通り、「閃」には「せん」という読み方もあります。
「閃く」の漢字の由来は?
「閃」という漢字には、「ひらめく」以外にも「のぞく」「うかがう」「身をかわす」という意味が含まれるそうです。会意文字の「閃」は、門から人がのぞき込んでいる様子を表しているとされます。
人影が出入りする状態を表しているとも考えられているため、一瞬のうちに人が通り過ぎるという意味から、「ひらめく」という読みに使われるようになったのかもしれません。
エジソンの名言
何かを思いついた時にも使われる、「閃く」。頭の上で電球が光っているイメージがありますね。電球といえば、白熱電球を発明したアメリカの発明家、トーマス・エジソンを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
エジソンは、貧しい家庭に生まれ、少年時代に鉄道乗務の新聞売子として働くかたわら、電気や化学の実験に熱中しました。その後、1863年に電信技手となったエジソンは、各地を渡り歩きながら発明に没頭し、1870年には自分の研究所を持てるまでに成長しました。
彼は、睡眠時間も削りながら連日発明に没頭し、1877年に蓄音機、その2年後の1879年には白熱電球を発明しました。白熱電球を商業生産し、1882年にロンドンとニューヨークで電灯照明用配電システムの運転を開始しました。この時期に設立されたエジソン電気照明会社は、現在のGE社(ゼネラル・エレクトリック)の前身です。
生涯を通して発明家であり続けたエジソン。そんな彼の名言の中に、「天才とは、1%の閃きと99%の努力である」というものがあります。これは、エジソンの会見をまとめた記者による日本語訳ですが、知らない人はいないほど、非常に有名な名言ですね。
彼は後の会見で、「1%の閃きがなければ、99%の努力は無駄になる」と語ったと言われていますが、真相は不明です。ただ、数多くの失敗や挫折を経験した末に、世界的な発明品を生み出したエジソンの名言には、言葉の重みがあります。
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いかがでしたか? 今回の「閃く」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 南北戦争後、技術面で急速に発展していった当時のアメリカ社会には、エジソンのような偉大な発明家が必要不可欠だったと言えます。
どの発明も一筋縄ではいかず、何度も失敗したそうですが、そんな失敗も彼にとっては「閃き」の一つだったのかもしれません。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB
参考資料/『デジタル大辞泉』(小学館)
『日本国語大辞典』(小学館)
『日本大百科全書』(小学館)
『世界大百科事典』(平凡社)