生命保険と聞くと、終身保険や定期保険を思い浮かべる人は多いと思いますが、収入保障保険については正しく理解されていますでしょうか? 内容を正しく理解しておくことで、保険選びの選択肢の幅を広げましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
収入保障保険と他の死亡保険の違い
収入保障保険のメリット・デメリット
収入保障保険はどんな人に必要?
早くに亡くなった場合とそうでない場合、保険金はどのくらい変わる?
まとめ
収入保障保険と他の死亡保険の違い
一般的に生命保険は、自分が亡くなった時に残された家族の金銭的な負担をカバーする目的で加入します。終身保険や定期保険といった死亡保険はもちろん、収入保障保険もその目的は同じです。では、収入保障保険と終身保険や定期保険とは、どのような違いがあるのでしょうか? 収入保障保険とはどのような保険なのかをおさらいしながら、終身保険や定期保険との違いについてみていきましょう。
保険金の受け取り方
終身保険や定期保険は、被保険者(保険の対象となる人)が亡くなった時に、保険金が全額一時金で支払われます。一方で収入保障保険は、あらかじめ決めていた月額の保険金を保険期間が終了するまでの間、継続して年金形式で受け取るタイプの保険になります。つまり、亡くなった人が得たであろう収入を、保険が毎月保障するというイメージのものとなります。
保険期間
収入保障保険の保険期間は、歳満了または年満了であらかじめ期間を決めて加入します。期間が決まっている保険ですので、定期保険の一種ということになります。
保険料
例えば、保険期間が30年(30歳から60歳)で、保険金額が3,600万円の一般的な定期保険と月額10万円受取(加入当初の保険金総額3,600万円)の収入保障保険の保険料では、収入保障保険の方が安く設定されます。収入保障保険の受取保険金総額は、毎年減っていくために保険料は低く設定されるのです。
収入保障保険のメリット・デメリット
収入保障保険にも、メリットとデメリットがあります。それぞれについてみていきましょう。
収入保障保険のメリット
収入保障保険のメリットは以下の通りです。
割安な保険料
収入保障保険のメリットは、割安な保険料で手厚い保障が得られることです。収入保障保険は、時間の経過とともに支払われる保険金の総額が減っていきますので、定期保険に比べると保険料は割安に設定されています。
合理的な仕組み
収入を支えている人が亡くなることを想定した場合、残された家族に必要となる生活費や教育費・住宅費などの必要保障額は、時間の経過とともに小さくなっていくのが一般的です。例えば、子どもがいる家庭の場合、子どもの成長とともに、かかる教育費の支払い総額は減っていき、独立するまでの生活費の総額も減っていくため、必要保障額は少なくなっていくのです。
必要保障額が少なくなるのに伴い、支払われる保険金総額も減っていく収入保障保険は、合理的な仕組みだといえます。
収入保障保険のデメリット
収入保障保険のデメリットは以下の通りです。
解約返戻金がなく、満期保険金もない
収入保障保険は基本的には掛け捨てのため、途中で解約しても解約返戻金がありません。保険が満期を迎えても満期保険金もありません。貯蓄性はない保険となっています。一見デメリットに感じますが、途中で解約することのないように、必要保障額を正確に算出するなど計画的に加入の検討をすることが大切です。
年収アップやインフレに対して柔軟に対応できない
収入保障保険に加入する際に、加入当初の収入を基準に考えて月額保険金額を決めてしまうと、被保険者の年収が毎年アップしていく場合に対応することができません。また、インフレによって加入当初よりも物価が上昇した場合に当初決めた保険金額では足りなくなる可能性があります。加入する前には自分のライフプランを作り、さまざまな状況を想定した上で保障額を算出することが求められます。
収入保障保険はどんな人に必要?
収入保障保険は、収入のある人が万一亡くなってもその収入が途絶えないようにカバーできる保険です。一般的に、下記のような人は、収入保障保険の必要性が高いといえるでしょう。
家計を支えている人
家計を支えている人は、自分に万が一のことがあった場合に、残された家族が経済的に困らないように、備えておく必要があります。収入保障保険は、もしものことがあった場合に毎月定額の保険金が、得たであろう収入の代わりとなるため、家族の生活を守ることができます。
また、子どもが小さく、これから教育資金がかかる人など、将来の資金準備を必要としている人にとって収入が途絶えることは避けたいところです。得られる収入から将来のための積立を継続するためにも、収入保障保険は役に立つ保険といえるでしょう。
個人事業主やフリーランスの人
個人事業主やフリーランスの人は、会社員と比べて遺族厚生年金がない分、遺族年金が少ないため、収入保障保険等で備えておくと安心です。
早くに亡くなった場合とそうでない場合、保険金はどのくらい変わる?
前述で少し触れましたが、収入保障保険では「保険金総額」という考え方をします。保険期間終了までの期間によって、受け取る保険金総額が変わっていく保険であるためです。
保険金総額
一般的な定期保険は、保険期間中の保険金額が一定なのに対して、収入保障保険は被保険者が亡くなった時から保険期間終了時まで毎月定額で保険金が支払われるため、保険に加入してから期間が経過すればするほど受け取れる保険金総額は小さくなっていきます。
例えば、30歳の被保険者が、保険期間を60歳までと決めて、毎月20万円が支払われる収入保障保険に加入した場合、
35歳で亡くなったら、支払われる保険金の総額は、20万円×12か月×25年(残り期間)=6,000万円
50歳で亡くなったら、支払われる保険金の総額は、20万円×12か月×10年(残り期間)=2,400万円になります。
まとめ
生命保険を活用して残された家族の生活を守るための道具選びは重要で、そのために基本的な商品の知識は持っておくに越したことはありません。また、保険に加入する際には必要保障額の算出が何より大切であることは繰り返しお伝えしていきたいところです。
さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
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