「あれ? なんて漢字だったっけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努⼒をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶⼒の鍛錬につながると⾔われています。

「脳トレ漢字」第207回は、「鬼灯」をご紹介します。古くから、お供え物や薬用として使われてきた「鬼灯」。浅草にある浅草寺では、毎年7月始めに、鬼灯にちなんだ縁日が催されています。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。

「鬼灯」とは何とよむ?

「鬼灯」の読み方をご存知でしょうか? 「おにひ」ではなく……

正解は……
「ほおずき」です。

『小学館デジタル大辞泉』では、「ナス科の多年草。」「子供が口に入れて舌で押し鳴らすもの。」と説明されています。ナス科に分類される、鬼灯。ナスに似た淡黄白色の花を咲かせます。

鬼灯といえば、先が少し尖った赤い実のイメージが強いですが、あれは果実を包み込んだ萼(がく、花びらの最も外側にある、葉が変形したもの)が熟した状態だそうです。鬼灯は、古くから薬用として活用されてきました。鬼灯の実を鎮静剤とする風習は平安時代から見られ、利尿剤や解熱剤としての効用も挙げられています。

薬のほかにも、精霊の依代(よりしろ)として七夕や盆の期間に庭先などに飾られたり、子ども向けのおもちゃ(種子などの中身を取り除いた実を吹くと、音が鳴るため)として販売されることもありました。

また、「鬼灯」には「きとう」という読みもあり、「鬼火」を指します。

「鬼灯」の漢字の由来は?

「ほおずき」という名前の由来には、諸説あります。子どもの赤い頬に例えたという説や、実を吹いて音を鳴らす時の表情に由来するという「頬突き」説などがその例です。

また、江戸時代の本草学者・貝原益軒(かいばら・えきけん)が作成した『大和本草』では、蝥(ほう)という虫がつくから「蝥付(ほおずき)」と呼ばれるようになったという説が挙げられています。

赤い実が提灯にように見えることから、「鬼灯」という漢字があてられたと言われることもある、「ほおずき」。かつては、「酸漿」と書いて、「ぬかずき」「かがち」と呼ばれることもあったそうです。「ぬかずき」は、薬用とされた実の苦味が強かったことから「にがつき」と呼ばれ、それが訛ったものであると考えられています。

浅草寺のほおずき市

鮮やかな朱色が印象的な「鬼灯」。『古事記』には「赤酸漿(あかかがち)」という名称が見られ、恐ろしい怪物・八岐大蛇(やまたのおろち)の目に例えられています。古来より、鬼灯は神秘的なものの象徴だったのかもしれません。

そんな鬼灯にちなんだ縁日が、浅草の浅草寺で催されています。それが、毎年7月9日・10日に開催される「ほおずき市」です。平安時代頃から、観世音菩薩を祀る寺の縁日は毎月18日に催されていましたが、室町時代末期になると、「功徳日」と呼ばれる縁日が登場します。

功徳日とは、その日に参拝すると100日、または1000日分の功徳が得られるとされる特別な日のことで、浅草寺では年に12回の功徳日が定められています。特に、7月10日は最大の功徳日で、46,000日分の功徳があるとされることから、「四万六千日」と呼ばれるようになったそうです。

浅草寺の四万六千日の縁日は、江戸時代には既に定着していたと言います。元々、この縁日は7月10日のみでしたが、前日から参拝者が殺到したため、9日も縁日に含まれるようになったそうです。また、浅草寺の縁日に倣った愛宕神社(あたごじんじゃ、東京都港区にある神社)が「ほおずき市」を開催したことから、浅草寺でも鬼灯の屋台が立つようになりました。

浅草寺では、厄除けや薬用として販売された鬼灯のほかに、落雷除けのお守りとして「赤とうもろこし」も販売されていたとされます。しかし、明治初年頃、赤とうもろこしが不作で市場に出回らなくなったことから、竹串に挟んだ三角形の守護札が、その代わりとして授与されるようになったそうです。

これは「雷除札」と呼ばれるもので、現在でも四万六千日に授与されています。46,000日、約126年分もの功徳を得られるとされる、浅草寺の縁日。ほおずき市を散策すると、楽しみながら一生分以上の功徳を得られる素晴らしい一日になりそうですね。

***

いかがでしたか? 今回の「鬼灯」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 江戸時代から続く、浅草寺の「ほおずき市」。当時の人々も、縁日を訪れて夏を楽しんでいたのかもしれませんね。

文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB

参考資料/『デジタル大辞泉』(小学館)
『日本国語大辞典』(小学館)
『日本大百科全書』(小学館)
『世界大百科事典』(平凡社)
「浅草寺公式ホームページ」

 

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