色の魔術師と称された20世紀最大の巨匠のひとり、フランスの画家、アンリ・マティス。
1869年、フランスの北東部の小さな町に生まれたマティスは、21歳で画家を志してパリに出ました。
1905年、力強い線と強烈な色彩を用いた作品を公募展で発表するや、その先進性によってマティスは、彼の仲間たちとともに「フォーヴィスム(野獣派)」と呼ばれるようになりました。
その後マティスは南フランスのニースに移住。地中海の日差しを浴びて更なる色彩表現を追求しました。

アンリ・マティス《ザクロのある静物》1947年 油彩/カンヴァス
ニース市マティス美術館蔵
(C)Succession H.Matisse  Photo:François Femandez

晩年はさらに斬新な手法、カンヴァスのかわりに紙とハサミを道具とした「切り紙絵」という新たな芸術表現にたどりつきました。

アンリ・マティス《ブルー・ヌードⅣ》1952年 切り紙絵
オルセー美術館蔵(ニース市マティス美術館寄託)
(C)Succession H.Matisse  Photo:François Femandez

国立新美術館の「マティス 自由なフォルム」は、マティスの切り紙絵に焦点を当てた展覧会です。(2月14日~5月27日)

本展の見どころを、読売新聞社の展覧会広報担当者にうかがいました。

「『フォーヴィスム』のイメージが強いマティスですが、晩年に大病を患って以降、新たな表現技法として精力的に取り組んだのが切り紙絵でした。本展では、切り紙絵に焦点を当てながら、絵画や彫刻、テキスタイルなど150点以上を紹介します。

アンリ・マティス《花と果実》1952-1953年 切り紙絵
ニース市マティス美術館蔵
(C)Succession H.Matisse  Photo:François Femandez

特に、幅8.7mにもおよぶ切り紙絵の大作〈花と果実〉は今回の注目作で、5枚のカンヴァスから構成される広大な画面いっぱいに鮮やかな色彩が広がります。普段はニース市マティス美術館のメインホールに飾られていますが、本展のために2021年に大規模な修復が行われ、今回が日本初公開となります。

ヴァンスのロザリオ礼拝堂 (C)Succession H.Matisse  Photo:François Femandez

また、本展ではマティス芸術の集大成として位置付けられるヴァンスのロザリオ礼拝堂にも着目します。彼がデザインした礼拝堂の室内装飾や司祭服の関連作品が数多く展示されるほか、礼拝堂内部を原寸大で再現し、ステンドグラスを通じて外から差し込む色鮮やかな光の移り変わりも体験できるような空間にしています。写真撮影も可能ですので、ぜひ六本木で南フランスの気分を堪能してください。なお、油彩画も初期の貴重な作品から多数展示していますので、そちらも必見です」

アンリ・マティス《ポリネシア、海》1964年(1946年の切り紙絵に基づく) 羊毛のタペストリー
ルーヴル美術館蔵(ニース市マティス美術館寄託)
(C)Succession H.Matisse  Photo:François Femandez

マティスの多彩な芸術表現にふれることのできる展覧会です。ぜひ会場にお運びください。

【開催要項】
マティス 自由なフォルム
会期:2024年2月14日(水)~5月27日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
展覧会ホームページ:https://matisse2024.jp/
開館時間:10時~18時、金・土曜日は~20時(入場は閉館の30分前まで)
休館日:火曜日(ただし4月30日は開館)
料金:展覧会ホームページ参照
アクセス:展覧会ホームページ参照

取材・文/池田充枝

 

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