編集者A(以下A):大河ドラマファンにとって総集編とは『ゆく年くる年』同様、厳かに向き合う番組になります。
ライターI(以下I):(苦笑)。さすがに「厳かに向き合う」は大げさではないですかね。『どうする家康』の総集編は、12月29日の13時05分~17時49分までの4部編成となります。毎回思うのですが、制作陣がどのような編集を施してくるのか興味深いですね。
A:1年間放送してきたものを数時間に圧縮するわけですから、当然ばっさり切られるのは当たり前だと承知してはいるのですが、意外と「え? あの場面カット?」というのも毎年のお約束です(笑)。私が総集編で楽しみにしているのが、阿部寛さん演じる武田信玄と眞栄田郷敦さん演じる武田勝頼との「再会」ですね。
I:なんだかすでに懐かしい感じもしますが、私も信玄と勝頼に会いたいですね。特にAさんは眞栄田郷敦さんの勝頼を絶賛していましたからね。懐かしいといえば、王道と覇道の違いを唱えた野村萬斎さん演じる今川義元にも会えそうですね。
A:さて、11月末にNHKホールでファン感謝祭が開かれましたが、その際の視聴者アンケートによる「もう一度見たい名場面ベスト10」が発表されました。ベスト10に入った場面が総集編から外されることはないと思われますので、紹介しておきましょう。
I:第10位は「〇〇な正信」でした。松山ケンイチさん演じる本多正信のちょっと笑える小ネタのシーンなどのことのようです。こういうの、どこまで総集編で出してきますかね?
A:前半は家臣団に疎まれる場面も多かったのですが、最後の最後に家康に近侍していたのは本多正信でした。戦場でバリバリ働いた功臣よりも知恵働き主流の人間が厚遇されるのは、現代の組織でもよくある話です。
I:振り返って見るとなんだか切ないですね。さて、ランキングに戻りますが、第9位に「半蔵のプロポーズ」、第8位に「茶々のダァーーン!」、第7位「家康と三成 天体観測」と続きます。
A:総集編という尺の中では「半蔵のプロポーズ」は当落線上と思われますが、秀吉の側室となった茶々が鉄砲を持って登場した場面、家康と石田三成の天体観測問答は総集編でも登場してくるでしょうね。
I:出会った頃は仲良しだったけど……、というのは大学の同級生や会社の同期とかでもよくある話ですね。
A:「あいつは変わった」という定型的なフレーズで語られることが多いですけどね。「数年前の自分は他人」と振り切るのもまた処世術です。
I:順位を続けます。第6位「秀吉の最期」、 第5位「家康と信長 安土城の決闘」、 第4位「小牧長久手 四天王」、第3位「夏目広次の最期」、 第2位「えびすくい」、 第1位「瀬名の最期」でした。 これらは総集編では必ず登場してきそうですね。
A:総集編の面白いところは、これでもかというくらい凝縮しちゃうので、見え方が変わってくるところです。家康と信長の関係、酒向芳さん演じた明智光秀など、きっと見え方が変わって来るのだと思います。それは再確認しておきたいですね。
I:いったいどんなふうになっているのか楽しみです。「えびすくい」は10回くらい登場していますが、どのえびすくいを残してくるのでしょう。
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