
誰にでも、運が悪いと思うことありますよね。そんな不運に上手に対処できれば、人生は楽しくなるのではないでしょうか。
どうすれば、人生の困難をうまく乗り切れるのか。その答えのひとつが「ご機嫌な脳」だというのは、脳内科医で、「脳の学校」代表でもある加藤俊徳先生。脳を120%活かすカギは上機嫌。脳のパフォーマンスは機嫌によって大きく変わるのだそうです。
加藤先生の最新著書『1万人の脳を見た名医がつきとめた 機嫌の強化書』(SBクリエイティブ)には、脳を上機嫌の状態に保つためのメソッドが紹介されています。毎日をもっとご機嫌に過ごしたい、不機嫌な自分とさよならしたい、周りの不機嫌に振り回されたくない。そんな悩みの答えがここにあります。
そこで、今回は『1万人の脳を見た名医がつきとめた 機嫌の強化書』から、脳の成長についてご紹介します。臓器の中で唯一、いくつになっても成長し続けられるという脳。脳の機嫌をコントロールしてパフォーマンスをあげたいですね。
文/加藤俊徳
「機嫌脳」は百歳を超えても成長し続ける
脳という器官は不思議なもので、体中の臓器のなかで唯一、年を重ねるほどに成長する構造なのです。
他の臓器は、長年の使いかたにより年を経るほどに弱ったり、衰えたりすることを避けられませんが、高齢者のMRI画像を見ていても、脳だけはいくつになっても枝葉を伸ばし、立派に成長し続けるのです。そして、その脳の成長度合いがより顕著に見られるのが、他でもない「機嫌のいい人」です。
私のクリニックを訪れるご高齢者には、学者をはじめ、作家や音楽家、画家など、著名な方も多くおられますが、80代、90代と年を重ねて、なおすくすくと立派な枝葉を伸ばし、成長し続ける脳画像を見せてくださるのは、総じて「機嫌のよい」方ばかりでした。
それが百歳を超えてさらにお元気な「センテナリアン」ともなれば、その見事な枝ぶりには感動を覚えるほどです。
私が、特にお伝えしたいのは、「機嫌とはコントロール可能なものであり、それによって脳のパフォーマンスはぐんぐんよくなる」ということ。
そして、もう一つ「脳は年を重ねるほどに成長し、機嫌も年を重ねれば重ねるほどよくなる」ということ。
脳の成長も機嫌の強化も、天井知らず。人は幸せに生きることをプログラムされた生き物であることを、年を重ねるほどに上機嫌で、脳が成長し続けるスーパーセンテナリアンが証明しています。
脳の成長を妨げる「不機嫌」

一方で、上機嫌が脳の成長に必要不可欠であることが事実ならば、その逆もまた真なりです。赤ちゃんの例で考えてみましょう。
体調を崩したり、眠くなったり、お腹がすいたり、オムツが気持ち悪かったり、親の姿が見えなかったりと、機嫌を害する要素が一つでもあると、途端に赤ちゃんのパフォーマンスは急降下します。自発的に遊ぶどころか、ひたすら泣きわめいて、「私は不機嫌である。助けてください」と猛烈に主張し始めます。
そこで親は、子どもの不機嫌要素を一つひとつ取り除くべく、体調回復に努め、寝かしつけ、腹を満たしてやり、オムツを替え、抱きかかえてあやしたりと奮闘。心身を快状態へと導くことで、赤ちゃんは再び、放っておいても成長する「ゾーン」へと入っていきます。
子どもは泣いて訴えるほどに「不機嫌要素」を嫌がります。なぜ、これほどまでに子どもが「機嫌のよさ」を求めるのか。それは、不機嫌のタネは、子どもにとって成長を阻害するものであり、成長を妨げられることは、赤ちゃんにとっては死を意味するようなものだからです。赤ちゃんは、それほどまでに成長したい生き物。つまり、本来、人間にとっては、成長することと生きることは同義なのです。
それは、どんなに年を重ねても揺らぐことのない脳の特長で、毎日を機嫌よく過ごし、生きる喜びに満ちているセンテナリアンの脳が成長し続けるのは、人間がもっているプリミティブな本能によるものなのです。
一方で、健康で睡眠や食事が十分に満たされ、学業や仕事でも成功を収め、心身ともに満たされていると思われる人のなかにも、常に不機嫌な人がいます。
年を重ねるほどに、気難しさを増し、口うるさくなるお年寄りもいます。いわゆる「老害」と呼ばれるものですね。あなたのまわりにも思い当たる人がいるのではないでしょうか。
単純に心身の不快要素を取り除くだけでは「上機嫌」になれない「大人の不機嫌」は、どのようなメカニズムで生じるのか。脳科学的には不機嫌は「脳のいじめ」ともいえる状態。でも、言い換えれば、「不機嫌脳の人」は、それまで成長が抑圧されてきた分、不機嫌から脱すれば成長の伸びしろは無限にあるということでもあります。
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『1万人の脳を見た名医がつきとめた 機嫌の強化書』
著者/加藤俊徳
SBクリエイティブ 1760円(税込)
加藤俊徳(かとう・としのり)
脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。昭和医科大学客員教授。脳科学・MRI 脳画像診断の専門家。脳番地トレーニング、助詞強調おんどく法の提唱者。小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。14歳のときに「脳を鍛える方法」を知るために医学部への進学を決意。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測「fNIRS(エフニルス)法」を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI 脳画像の研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。現在、「加藤プラチナクリニック」では、子どもでも大人でも脳が一生成長することを診療目的として、独自開発した加藤式脳画像診断法を用いて、脳の使い方の指導、学習・進学や適職の相談などを行っている。
著書には、『アタマがみるみるシャープになる!! 脳の強化書』(あさ出版)、『一生頭がよくなり続けるすごい脳の使い方』(サンマーク出版)、『1万人の脳を見た名医が教えるすごい左利き』(ダイヤモンド社)、『子どもの脳は8タイプ』(SB新書)などがある。











